BLOG

中小企業がMA(マーケティング・オートメーション)を導入する際に考慮すべきこと

企業のMA(マーケティング・オートメーション)導入・活用が益々進んでいます。
株式会社アイ・ティ・アール(以下、ITR)が2018年1月に公表した「ITR Market View:SFA/統合型マーケティング支援市場2018」に依りますと、統合型マーケティング支援(MA:Marketing Automation)市場は、2016年度の売上規模は107億7,000万円で60.7%増、2017年度も50.4%増と高成長を維持すると予測しています。

出展:ITR「ITR Market View:SFA/統合型マーケティング支援市場2018」 

ちなみに、ここでITRが定義している統合型マーケティング支援(MA:マーケティング・オートメーション)とは、マーケティング活動全般を支援する製品/サービスで、マーケティング・プランニング、見込客管理、カタログ管理、パーソナライゼーション、キャンペーン管理、イベント管理などの機能が含まれています。

また、以前コラムでも紹介しましたが、株式会社ジャストシステムが運営する『Marketing Research Camp』内の調査レポートでは、MA(Marketing Automation)に最も期待されているのは「マーケティング活動の効率化」で、他に「顧客アプローチの自動化」や「営業活動の効率化」が上位にあげられています。

【参考コラム】MA(Marketing Automation)に最も期待されているのは「マーケティング活動の効率化」

本コラムでは、こういった期待値の高いMAを中堅・中小企業が導入する際に考えておくべきこと、あるいは気を付けておくべきことをお伝えしたいと思います。

 

あらためて、ツール導入の目的は明確になっているか?

どのようなITツールでもいえることですが、MA導入の検討を始める以前に、導入目的を明確にしておくことが重要です。なぜなら、目的によって必要とされる機能が異なるだけでなく、目的が曖昧なままだと、導入後の運用が伴わず、期待する成果が得られないからです。

例えば、ハウスリストに対するメール・マーケティングの強化を目的にしているのに、配信したメールの反応を評価して改善していくためのA/Bテスト機能が無いとか、セミナー開催に関するマーケティング業務の効率化を目的にしているのに、フォーム作成において申込みの期限や上限の設定機能が無いなど、ニーズに対するミスマッチが生じてしまいます。

逆に、「大は小を兼ねる」と考えて必要以上に機能が多いMAを選択してしまいますと、殆どの機能が使われないばかりか、無用なコストが掛かってしまう可能性があり、注意が必要です。

MAを単なる業務支援システムとは考えず、各社のマーケティング&営業戦略に基づいた目標実現化ツールとして、専門家(できれば、ツールベンダーではなく中立的な立場のコンサルタントなど)からのアドバイスを受けつつ、ツールの選定・活用を推進していくのが望ましいと考えてます。

>>> 弊社の「ITツール導入・活用支援サービス」

 

継続的なコンテンツ開発無しに、継続的なリード創出は成し得ない

MAの機能に多大な期待をしてツールを導入したはいいものの、「期待していたほどのリードが創出されない」と嘆いている中小企業は少なくありません。
それもそのはず、国内の多くの中小企業では、マーケティング活動はおろか、ターゲットに対するコンテンツを継続的に創り出す運用体制やノウハウを持ち合わせていないからです。

MAのスコアリング機能を利用して、抽出したHotリードを営業部門に送客しようと試みても、Hotリードの基準を上げると殆ど母数を得られず、逆に基準を下げてしまうと母数は増えても営業活動の効率が悪化してしまう、というジレンマに陥ってしまっている企業は本当に多い。

もちろん、スコアリングの低いリードに対しては、シナリオ機能を活用して、人的リソースを消費せずにメールマーケティングを展開することも可能ですが、そもそもシナリオに組み込むコンテンツ(メール本文とかナーチャリング用コラムとか)は必須であり、継続的なコンテンツ開発無しに期待するリード創出はあり得ないのです。

また、新規のリード(見込客)については、メールアドレスなどの個人情報を獲得する必要があり、お客様の個人情報との引き換えに提供可能な、お客様の課題解決に役立つコンテンツ(ホワイトペーパーやeBook等)の制作も求められています。

>>> 弊社の「ホワイトペーパー制作サービス」

 

ターゲットのニーズに沿ったコンテンツ企画/制作が必須

前述の通り、継続的なコンテンツ開発の必要性に触れましたが、単なる思いつきや固定概念でそれ相応の手間やコストが掛かる一過性のコンテンツ制作はオススメしません。

取り扱う商材にも依りますが、お客様の想定課題や製品/サービスの訴求ポイント、さらには検討段階に応じた情報ニーズにあてたコンテンツを企画し、計画的にコンテンツ制作を進めていくことをオススメします。

「計画的なコンテンツ開発が重要なことは理解はしているつもりだけど、何から手をつけていいものか・・」

そんな声が聞こえてきそうですが、そう悲観する必要もありません。
というのも、弊社にご相談頂く中堅・中小企業のご担当者様からは、そういったコメントを頂くことが殆どだからです。

こういった問題・課題をクリアにしていくためにも、マーケティング&営業戦略とITツールの導入、付随するコンテンツ制作を別々のものとして切り離さず、一貫性のある取り組みで成果を出して頂きたいと考えています。

【参考】弊社のクエスト様に対するご支援事例

 

 さいごに

本コラムでは、MA(マーケティング・オートメーション)を導入した多くの中堅・中小企業が陥りやすいジレンマから、これからMAを検討して導入しようとされる企業のご担当者様に対して、本質的な問題に気付いて頂くためのポイントをお伝えしました。

多くの企業に期待されているMAの活用が、マーケティング活動の効率化や営業生産性の向上に欠かせないものになっていくことは間違いありませんが、あくまでもお客様との相互コミュニケーションを助け、自社(製品/サービス)のファンを増やしていく、あるいはお客様の課題解決や利益創出に貢献するためのツールとして、明確な目標と志しをもって導入・活用されることを期待しています。

この記事を書いた人

堀首 裕芳
堀首 裕芳代表取締役/CRMシニアコンサルタント
FA機器を製造・販売する株式会社キーエンスにて、営業の面白さや難しさ、奥深さを知る。
その後、複数のベンダーでSFA(営業支援システム)やCRM(顧客関係強化)領域のコンサルティングや営業管理職を務め、2011年にB2Bマーケティング株式会社を設立。
BtoB企業の顧客獲得や売上アップに貢献すべく、日々奔走中。

関連記事

ページ上部へ戻る