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6.72021
展示会出展に代わってセミナー(ウェビナー)やSNS広告を頼りに? 調査結果からBtoB企業の実態が明らかに
コロナ禍の今、一般市民の生活様式だけでなく、多くの企業がビジネスの在り方や働き方の変革を余儀なくされています。特にBtoB企業においては、対面営業の機会が制限されていることもあり、デジタルマーケティングの推進を中期経営計画に組み込むケースも増えています。
この状況下で、BtoB企業はどのようなマーケティング施策を重視し、さらには課題解決を図ることでリード(見込客)の獲得や売上アップを果たしているのでしょうか?
そこでテレビCMでもお馴染みの、マーケティングオートメーション「SATORI」を提供するSATORI株式会社(所在地:東京都渋谷区、代表取締役:植山 浩介)が2021年2月に公開した『国内BtoB企業におけるマーケティング活動実態調査レポート2021』を参考に、BtoB企業におけるマーケティングの実施状況や課題・成果に関して、コンサルタントである筆者が興味深く感じたポイントを3つほど挙げて、私見を述べたいと思います。
※公開されている情報の掲載は引用元の承認を得ています。
ちなみに、本調査はBtoB企業のマーケティング、販売促進、広報、営業企画関連の業務に従事されている25~59歳の男女で、520件の回答を得ている調査となります。
「過去1年間で効果が高かったマーケティング施策は?」あるいは「獲得した見込み顧客の件数は足りているか?」など、全部で14の設問に関してそれらの傾向を分析していますので、詳細を知りたい方はこちらからレポートをダウンロード頂ければと思います。
ポイント1> 「コンテンツマーケティング」による効果を実感している企業は少ない!?
[設問] 過去1年間で効果が高かったマーケティング施策は?(上位5つまで)
多くの企業で継続的に取り組まれているであろう「Webサイトの構築/更新/改善」については、他を大きく引き離しての最上位となっています。当然ながら、デジタルマーケティングにおいて基点となる取り組みですので、得られた効果を評価している企業は多いようです。
前回調査(2019年)で2位であった「展示会への出展」は、本調査で 16.6%⇒ 8.6%と半減しており、新型コロナウイルス感染拡大がもたらした影響の大きさを感じざるを得ない結果となっています。
現時点までに展示会自体の開催中止・見合わせが相次いでいますが、調査では実施した施策に対しての効果を尋ねていますので、例えば、来場者が減少したことや、来場した企業においての検討が進まない(予算減など)といった要因も考えられそうです。
また、取り組みの重要性が叫ばれて久しい「コンテンツマーケティング」については、少々気になる調査結果を示しています。
過去1年間で実施したマーケティング施策としても、「コンテンツマーケティング」は 12.3%(15位)と他の取り組みと比べて重視されているとは言い難い結果となっていますが、本設問ではさらに 3.7%(17位)と、その効果を実感している企業は少ないようです。
しかし、これまで10年以上B2Bマーケティングの支援に関わっているコンサルタントとして申し上げておきたいと思いますが、その取り組み範囲など言葉の定義は曖昧であるものの、「コンテンツマーケティング」自体は他のマーケティング施策と関連性の強いものであり、継続性が求められる重要な取り組みであることを再認識しておくべきだと考えています。
『B2Bマーケあるある』として、「コンテンツマーケティング」が単にブログを執筆したり、オウンドメディアを運用して集客することだと捉えている方は決して少なくありませんが、継続的なコンテンツ(メッセージ)開発なくして、他のマーケティング施策を含めた成果の最大化は皆無だと考えています。
こういう例えだと語弊があるかもしれませんが、せっかく高価な釣り道具を持っていても狙った魚に適する餌が無いと釣れないように、役に立つITツール(MAなど)を導入していても必要なコンテンツが無ければ目的を達成することはできないものです。
さらにBtoBにおける購買プロセスにおいては、検討段階に応じて求められる情報(コンテンツ)が異なるため、予め対象の商材やペルソナに応じて、コンテンツ・マップの作成からコンテンツの開発計画に落とし込むことが重要です。
宜しければ、こちらのコラムも参考にしてください。
【参考コラム】BtoB企業のリード(見込客)獲得/育成に活用されるホワイトペーパー
ポイント2> Web問い合わせや製品/サービスの資料請求に頼っているから見込客の件数に満足できていない!?
[設問] 見込客の獲得に有効な取り組みは?(上位3つまで)
「見込客の獲得に有効な取り組みは?」の問いでは上記の結果に。
「製品/サービスの資料請求」が 24.6%で最上位となり、次いで「紹介」が 17.1%、「セミナー」が 16.5%と続きました。
こちらの設問でも、前回調査(2019年)で2位(22.7%)であった「展示会」が5位(15.4%)と大きく比率・順位を下げ、コロナ禍の影響を垣間見ることができます。
この調査結果で気を付けておくべき点は、回答者は現時点での取り組みの中で有効だと考えているものを選択しているわけで、当然ながら、取り組んでいない施策の有効性については認識していない(できない)ということです。
つまり、例えばソーシャルメディアによる情報発信を行っていなければ、この設問で「ソーシャルメディア」を選択することはなく、そういったことを勘案して評価・判断する必要があると言えます。
弊社に相談を下さる企業の一部では、保有するWebサイト上で製品/サービスに関する資料請求や問い合わせのフォームしか設置されていないケースもありますが、そのままでは、いわゆる『いますぐ客』か『これから客』の一部としか接点を持てない可能性があり、『まだまだ客』の多くが離脱してしまっている事実を知っておくべきです。
従いまして、例えば9位(8.5%)に甘んじている「ホワイトペーパー(eBook)」は、もっと上位に位置していてもよい取り組みだと考えており、さらなるリード獲得を果たすために率先して取り組むべき施策の一つだと捉えています。
なお、他に「獲得した見込客の件数は足りているか?」といった設問の結果も示されていますが、「全く足りていない」と答えた 11.9%と「足りていない」と答えた 25.4%を合算した 37.3%、つまり全体の3分の1以上が『見込客の件数は足りていない』と考えている実態が判明しています。
十分足りている [3.3%]
足りている [11.9%]
どちらともいえない [47.5%]
足りていない[25.4%]
全く足りていない [11.9%]
冒頭で取り上げたマーケティング施策として「Webサイトの構築/更新/改善」を積極的に実践してWeb集客を果たせたとしても、自社サイトへの訪問客を効率的にリード転換できない限り能動的なアプローチには至らないため、見込客の検討段階に応じたコンバージョン・ポイントを考慮してコンテンツ開発を進めていくことが重要だと考えています。
ポイント3> 1年以内に成約する見込客だけを狙って獲得することは難しい!?
[設問] どのくらいの期間で成約に至る見込客が必要か?(1つだけ)
次に「どのくらいの期間で成約(受注)に至る見込客が必要か?」の問いでは上記の結果に。
「1年未満」の 28.5%が最多で、「3ヶ月未満」の 21.3%が他を引き離して続いています。つまり、ほぼ半数が1年以内に成約する見込客を必要としている実情が分かりました。
また、調査レポートの中では、300名未満の中小企業ほど、成約に至る期間がより短い見込客を必要としている実態にも言及しています。
もちろん、企業の業態や取扱商材によって平均商談期間は異なるでしょうから、回答した選択肢(期間)が同じであっても、その意味合いを勘案する必要はありそうです。
では、こちらの調査結果のように、1年以内に成約する見込客だけを狙って自社サイトに流入(誘導)させることはできるでしょうか?
当然ながら答えはNOとなりますが、本来であれば1年以上の商談期間が必要な見込客リストを先んじて確保することができていれば、先行してニーズを喚起(見込客を育成)しておくことは可能です。
つまり、前述した通り、見込客の検討段階に応じて求められるコンテンツを用意できていれば、見込客の状態に関係なく接点を持つことができ、能動的なアプローチによって見込客との関係性を高めることも可能となります。
全体の3分の1以上が『見込客の件数は足りていない』と考えている実態と照らし合わせて問題の本質を推察してみますと、必ずしも購買を検討中ではなくても、特定の問題意識を持っている、あるいは課題解決を図ろうとしているような『これから客』あるいは、漠然とした悩みを抱えているような『まだまだ客』を率先して獲得して、継続的に態度変容を果たせる独自のマーケティング・プロセスを回していけるかが、多くのBtoB企業に求められている課題ではないかと筆者は考えています。
さいごに
前述したように、読者の勤務先において『これから客』や『まだまだ客』といったリード獲得を熱望しているようであれば、その解決策の一つとして『ホワイトペーパー(調査レポート)』の制作・活用を提言したいと思います。
企業の業種やその目的などの要件により、企画・制作の難易度は異なりますが、こういった取り組みを検討・実施する価値は大いにあります。実際に成果を上げている事例を案内することもできますので、関心のある方は弊社の問い合わせフォームからその旨お知らせ頂ければと思います。