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1.312017
MA(マーケティング・オートメーション)の活用で必須のリード獲得施策
マーケティング・オートメーション(Marketing Automation:以下MA)というキーワードも十分認知されつつありますが、B2B(BtoB)企業に限ってみても、実際に導入して活用できている企業はいまだ少数派だといえます。
参考までに、米国におけるアンケート調査ではありますが、こちらの記事で紹介されているように、先行している米国でさえ、MA導入企業の85%が「実は活用できていない」と認識しているようです。
【参照元】“失敗”から学ぶマーケティングオートメーション活用術
第4回:マーケティングオートメーション、8割の企業がつまずく「導入後」の話
そもそも「マーケティング・オートメーション」という呼称は、欧米のベンチャー企業が創り出したワードであり、明確な定義があるわけではありません。一般的には、Webを中心としたデジタル・マーケティング活動を効率化し、効果を最大化することを目的にしたツール(仕組み)だと理解しておけば宜しいかと思います。
2014年辺りから欧米のクラウド型MAが続々と国内市場に参入し、現在では国内産のMAも多数開発・提供されていますが、Webマーケティングを重視する企業を中心に導入が進んでいます。
MAを活用して期待する成果を上げるためには、どんな考え方や取り組みが必要なのでしょうか?
本コラムでは、MAの導入・活用において必須といえるリード獲得施策について考えてみたいと思います。
MA(マーケティング・オートメーション)の基本的な6つの機能
まだMA(マーケティング・オートメーション)そのものをご存知ない方々のために、多くのツールが搭載している基本的な機能について軽く触れておきたいと思います。
1.リード情報管理機能
リード(見込客)の個人情報や行動履歴など、主にマーケティングに関連する情報を一元管理できる機能です。
これまでに展示会等で獲得した名刺情報や、Webサイトから資料を請求いただいたリード情報をはじめ、MAで生成したWebフォームから登録があったリード情報もメールアドレス等をキーにして名寄せ管理することができます。
2.Webフォーム/ランディングページ作成・管理機能
セミナーや資料請求の申込みフォーム、あるいはキャンペーンで利用するランディングページなど、htmlやcssの知識がなくても簡単に作成できる機能です。
プレビューで確認しながら、必要な項目をドラッグ&ドロップするだけでページを生成できるツールもあり、社内の情報シス部門や社外の制作会社に頼らなくても様々な取り組みが業務部門主体で推進可能です。
3.メール配信・管理機能
MA内のリード情報(データベース)に対して、メール配信を行えます。
一般的には、リード情報によるセグメント配信が行え、メール本文に属性情報(○○様など)などの差し込みも可能です。
ビジュアル面でも優位なHTMLメールの作成・配信も容易になりつつあり、配信したメールの開封率やクリック率などの配信結果もレポート機能により可視化されます。
4.Webトラッキング/解析機能
MAにおいて象徴的な機能ですが、それぞれのリード(見込客)がWeb上のどのページをいつ閲覧したか?といった「個人情報とアクセスログの紐付け」が行える機能です。
皆さんがよくご存知のアクセス解析ツール「Google Analytics」は、Webサイトやページのパフォーマンスを把握するには便利なツールですが、個人ごとにどの経路から流入して、どのページを経由してセミナーの申込みに至ったのか?を把握することには長けていません。
リード(見込客)のWeb上の接点情報を管理することにより、後述の「キャンペーン/シナリオ設定機能」と連動したリード・ナーチャリングに活かされます。
5.キャンペーン/シナリオ設定機能
例えば、「ホワイトペーパーの申込みフォームに登録があったタイミングでサンクスメールを配信し、その後1週間後に関連する事例ページに誘導するフォローメールを配信する」、あるいは「ハウスリスト内の見込客が、1ヶ月以内にコラムを5ページ以上閲覧して、料金表のページも閲覧したら、トライアル利用を促すフォローメールを配信する」などの条件設定で、One to Oneマーケティングを自動化できます。
6.スコアリング機能
リード(見込客)の属性情報(企業規模や役職など)をはじめ、あらゆる行動履歴にスコア(得点)をつけて定量的な評価や優先順位づけを行えます。
例えば、「ホワイトペーパーの申込み:+30点、メルマガの開封:+10点、メルマガの未開封:-5点」といったルールを設定して、見込客の購買意欲を測ることができ、次のマーケティング施策に活かせます。
購買プロセスを意識したコンテンツ・マーケティングの必要性
さて、前段でMAの基本機能についてあらためて共有しましたが、そもそもの目的達成や課題解決を果たすためには、当然ながら見込客に対するコンテンツ(メッセージ)が必須です。
リード(見込客)を集客するためのコンテンツが必要ですし、すでに接点のあるリード(見込客)に対しては、ニーズ喚起や関係性を強化するためのコンテンツも必要です。
いずれにしても、Webサイトに訪れるリード(見込客)の興味関心度や(購買)検討段階は様々であり、コントロールするのは難しいことです。
それよりも、どんな検討段階にあるリード(見込客)であっても、ニーズを満たし、次の検討段階に進んでもらうためのコンテンツ企画やシナリオ設計が肝要です。
こちらに、弊社が考える購買プロセスにおけるターゲットの特徴や(Web関連の)取り組み例をシンプルに整理した表をご案内します。
それぞれ、
「問題意識・興味関心」段階にある“まだまだ客”の特徴として、
『関連するテーマの問題意識や興味関心はあるが、具体的な課題を認知しておらず、取り組みの優先度も低い。』
「認知・情報収集」段階にある“これから客”の特徴として、
『自社(自身)の抱える課題を明確に認識し、その解決方法やサービス提供者に関する情報を収集している。』
「比較・検討」段階にある“いますぐ客”の特徴として、
『課題を解決するための製品/サービス、あるいはサービス提供者を比較・検討し、社内決裁を進めている。』
「導入・運用」段階にある“顧客/ユーザー”の特徴として、
『運用結果を振り返り、改善策の検討や継続利用の必要性を判断するための情報提供や支援を期待している。』
と説明(定義)しています。
ここで重要なことは、それぞれの検討段階にあるリード(見込客)の特徴をよく理解した上で、課題解決の必要性や解決方法をどのように認知させるかを検討し、コンテンツ企画やマーケティング施策に活かせられるか、と考えてます。
起点となるCTA(行動喚起)の開発・活用
前述のとおり、MAを活用してリード(見込客)を特定し、フォローシナリオと連携させるには、トリガーとなるCTA(行動喚起)の開発・活用が有効です。また、ホワイトペーパー(eBook)の活用はCTA(行動喚起)として重要な選択肢の一つです。
ちなみに、ホワイトペーパー(eBook)をあらためて説明しますと、自社製品・サービス、関連技術などの優位性を紹介する、あるいは市場環境や技術動向のレポート、事例紹介などをまとめたマーケティング・コミュニケーションのための文書(コンテンツ)です。
B2B(BtoB)においては、主にリード(見込客)を獲得するための手段として活用されますが、ターゲットの検討段階や想定課題によって、どんな内容のものが有効かを検討することができます。
- 事例/ケーススタディ
- 課題解決ノウハウ
- 話題のテーマ/最新技術紹介
- 調査(業界)レポート
自社サイトにコンテンツを継続的にアップして、潜在的なお客様を集客できたとしても、アンノウン(匿名客)の状態ではMAの機能を十分に発揮できない、ひいては営業部門に対して有効なリード(見込客)を送客できないということになります。
ですので、単に自社の商品やサービスの内容を紹介するようなものではなく、あくまでもターゲット層が興味を持つテーマや課題解決に役立つ情報をまとめたホワイトペーパー(eBook)などを用意して、自社のリード・ジェネレーションを推進しましょう。
【関連コラム】
B2Bのホワイトペーパー・マーケティング、その成功の秘訣とは?
「顧客の声」をホワイトペーパーに活かしてリード(見込客)を獲得する方法とは?
さいごに
今回は、MAを活用して期待する成果を上げるためには、どんな考え方や取り組みが必要なのか? 購買プロセスを意識したコンテンツ・マーケティングの必要性とリード獲得施策についての話題を取り上げました。
確かに、B2Bマーケティングを実践していく上で、MA(マーケティング・オートメーション)は非常に便利かつ有効で、これから益々その重要性を高めていくだろうと期待しています。
しかしながら、ツールはあくまでも手段であり、米国のMA導入企業のうち85%が「実は活用できていない」と認識している実態も踏まえ、やはり「ユーザー・ファースト」、「コンテンツ・ファースト」の精神を忘れないように取り組みたいものです。