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12.262016
「顧客の声」をホワイトペーパーに活かしてリード(見込客)獲得につなげるには?

BtoB(B2B)マーケティングにおいて、「顧客の声」は非常に重要な情報資産です。しかし、多くの企業がこの貴重な情報を十分に活用できていないのが実情です。また、BtoB(企業間取引)のビジネスにおいて、顧客は単なる購入者ではありません。彼らは、自社の課題解決に向けて検討・購買プロセスを経た、いわば「課題解決の先輩」なのです。
この貴重な「顧客の声」を収集・集約し、マーケティングに活かす方法をご存じでしょうか?本コラムでは、Web担当者やマーケティングの責任者、あるいは営業マネージャーの方々に向けて、実践的なアプローチをご紹介します。具体的には、以下のような話題に触れながら、すぐに実践できるBtoBマーケティングの方法を解説します。経験豊富な大企業の方にも、リソースの限られた中小企業の方にも、明日から使えるヒントが見つかるはずです。
- 自社の商品/サービスが選定・採用される理由を把握・理解しておく重要性
- 顧客インタビューやアンケート調査を効果的に活用する方法
- 「顧客の声」を利用したコンテンツで、どのようにリード獲得につなげられるのか?
デジタル化が進む現代のBtoBマーケティングにおいて、「顧客の声」の重要性はますます高まっています。本コラムを通じて、各社のマーケティング活動がより効果的なものになるためのアイデアを得ていただければ幸いです。
自社の商品/サービスが選定・採用される理由を明確に言えますか?
私たちコンサルタントが、初めてクライアントのご支援に入る際には、当然ながら取り扱う商品/サービスの強みや特性を理解する必要がありますが、自社の商品/サービスが選定・採用されている要因について、裏付けるデータをもって明確に答えていただける企業は多くはありません。
もちろん、ざっくりとした仮説レベルでは大きく外れているわけでもなさそうですが、マーケティングメッセージに反映するにはあまりにも主観的で根拠に乏しいことが少なくありません。そこで、既存客(ユーザー)への個別インタビューやアンケート調査の実施を提案することがあります。その場合、インタビューやアンケート調査で得られた結果を精査した上で、見込客に対するメッセージ/コンテンツとして活用する必然性が生まれます。
現場の声を活かしたマーケティング活動の必要性
BtoB企業に限らず、導入事例などのコンテンツはマーケティング上(営業活動においても)のキラーコンテンツであり、工数やコストを費やしてでも用意しておくべき対象だと度々お伝えしていますが、各社それぞれのご事情(インタビューの承諾を得られない、など)により後回しにされたり優先順位が低くなりがちです。
特に、顧客に最も近い立ち位置である営業部門では、直近の“売上(予算達成)”につながる活動が優先されがちであり、中長期的な観点で売れる仕組み作りを担うマーケティング部門に「顧客の声」が上がりにくい、あるいは、営業現場の情報を吸い上げようと工夫できていない状況が散見されます。
とある映画におきまして、
「事件は会議室で起きてるんじゃない!現場で起きてるんだ!」
との有名なセリフがありますが、言い表す通り、社内で会議ばかりしていて現場の生きた情報なくしては、効果的なマーケティング活動も期待できないということに留意しておきたいところです。
顧客(ユーザー)への個別インタビューを継続的な取り組みに発展させ、導入事例などのコンテンツ開発に活かしていくことを推奨します。なお、このような事例コンテンツを継続的に生み出す方法については、こちらのコラムでもお伝えしておりますので、ご参考までに。
【参考】集客・営業活動に役立つ事例コンテンツを継続的に作る方法とは!?
「顧客の声」を活かしたホワイトペーパーの企画/制作
あらためてホワイトペーパーとは、自社製品・サービス、関連技術などの優位性を紹介する、あるいは市場環境や技術動向のレポート、事例紹介などをまとめたマーケティング・コミュニケーションのための文書(ダウンロード資料等)です。
BtoBマーケティングにおいては、主にリード獲得の手段として活用されますが、以下のようにターゲットの想定課題や検討段階によって、どんな内容のものが有効かを検討することができます。
- 事例/ケーススタディ
- 課題解決ノウハウ
- 話題のテーマ/最新技術紹介
- 調査(業界)レポート
先述した事例コンテンツでも、それなりの件数が蓄積されれば、業種別や課題別といった括りでまとめた「事例集」として活用することもできます。また、顧客(ユーザー)に対するアンケート調査についても、調査結果をレポートにまとめ、ダウンロード用のコンテンツとして展開することも可能です。それでは、関連する事例(※クライアント承諾済み)を具体的に挙げて説明します。
既存顧客へのアンケートとレポート制作によってリード獲得につなげた事例
クラウドで『予約管理システム』を提供しているクライアントにおいて、比較・検討段階にある見込客向けのコンテンツとして「顧客の声」を利用した調査レポートを制作し、新たなリード獲得やハウスリストからの案件創出を図りました。具体的には、既存ユーザーに対するアンケートフォームを用意し、回答いただいたデータを集計して配布用のレポートを制作しました。
取り組みの目的としては、これから『予約管理システム』の導入・活用を検討したいと考えている見込客に対して、「やはり、我々も業務の効率化や売上アップを実現するには、ネット予約の仕組みが必要だ!」と認識させること、でした。これは単に「顧客満足度調査」のようなことを行うわけではなく、あくまでもマーケティングに重きを置いた施策となるため、そうした意図を持った設問設計が必要となります。
例えば、導入の目的をはじめ、導入時に問題になったことやその対処方法、サービス選定のポイント、導入して得られた成果など、検討を進める見込客にとってヒントになるような(背中を押してあげる)情報は何か?を考え尽くすことが重要です。
アンケートの設問設計から、アンケートの案内/サンプル回収、データ集計/分析、レポートの制作、フォロー施策に至るまで、一連の流れは以下の通り。
➊ 企画立案、設問設計
取り組みの目的やターゲットを明確にした上で、既存客(ユーザー)のアンケート項目を設計します。先述した通り、どのような「顧客の声」が潜在客・見込客にとって参考になり得るのか?課題解決の重要性を認識してもらうためには?あるいは、サービス導入時に問題になったことは?その問題をどう乗り越えたのか?など、ターゲット視点で考えながら設問を検討することが重要です。
❷ アンケートの案内、回答収集
ここでは、Webアンケートによるサンプル回収を前提としますが、クラウド型アンケートツールの利用を推奨します。ちなみに、弊社ではこうした用途の場合、マクロミル社が提供している「Questant」を利用することが多いです。(数ヶ月程度の利用であれば数万円程度の費用で抑えることも可能)
条件分岐など、一般的な機能を有したアンケートフォームの作成はもちろん、回答データの集計もWeb上で対応できます。また、別途提供される集計ソフトを利用することで、様々なデータ加工や高度な分析も可能です。フォームが用意できたら、対象者にメールで案内し、サンプル回収を開始します。
❸ データ集計・分析/調査レポート制作
アンケートの回答期限を迎えたら、ツールの集計機能を使い、設問ごとに関係者間で考察します。その際、企業規模や業種などの属性とのクロス集計も行い、ターゲット(読者)を意識した上で、どのような問題意識や知見を与えられるか、十分な議論・意見交換が重要です。
設問ごとに伝えるべきメッセージを精査できたら、配布用のレポート制作に着手します。
➍ 調査レポートの案内、ダウンロードに誘導
調査レポートが用意できたら、ランディングページ(ダウンロード用フォーム)上に公開し、ハウスリストに対してはメールにて案内します。配信後は、その反応や成果を継続的にモニタリングして改善活動につなげましょう。新規のリード獲得については、流入元となり得るコラムの執筆やサイト上の導線設計も重要となるため、公開した後も試行錯誤を繰り返しましょう。得られた調査データを(参照情報として)活用すれば、複数のコンテンツ(コラム等)を展開していくこともでき、ターゲットとの接触面積を拡げることも可能です。
なお、現時点(2025年4月時点の状況で更新)では、以下のように『予約管理システム 活用実態』で検索するとランディングページが上位表示され、コンバージョンにつながりやすくなっています。こうした流入キーワードにも配慮しながらコンテンツ開発と連動させることで、成果の最大化を図れます。
また、プレスリリースとして広く配信する広報・PR手法である調査PR(調査リリースとも呼ばれます)を可能な限り実施しましょう。普段、接点のない潜在層にもリーチできる可能性が高まるため、プレスリリース配信サービスの利用をオススメします。
【参考】調査PR/調査リリースとは?BtoB企業が実施する際の基本と実践方法を徹底解説
➎ フォローコール対象者の抽出
公開した調査レポートをダウンロードしたリードをリストアップし、フォローコールの対象者として抽出します。と言いましても、一定数の潜在層を含むリストに対してもれなく工数を掛けるのは得策ではありません。
例えば、ダウンロードフォームの入力項目として、企業規模や役職などの情報を求めていれば、それらを抽出条件(売上100億円以上、など)に加える。あるいは、MAなどが有するWebトラッキング機能を活用して、直近で料金表や事例コンテンツを閲覧しているなどの履歴情報を抽出条件に加えるなどして、工数を掛けるに値するリストをセールスチームに送客するのが望ましいでしょう。
➏ 営業アプローチ
SQL(Sales Qualified Lead)として送客されたリストに対し、必要な営業アプローチを行います。単なるアポ取りとは考えず、あくまでもお客様の問題意識や課題に寄り添い、必要とする情報提供を行いながら、予め用意したオファーを提示しましょう。本ケースでは、主に『予約管理システム』のデモンストレーションやトライアルの申込みにつなげるためのインサイドセールスに加え、メールマーケティングなどの施策を展開しています。
また、ヒアリングできた有益な情報についても、CRM(顧客管理システム)やSFA(営業支援システム)などのツールに蓄積されていくような運用とし、顧客との関係性強化につながるような取り組みに昇華させましょう。
さいごに
本コラムでは、顧客(ユーザー)に対するアンケート調査を「顧客の声」としてホワイトペーパー化し、リード獲得につなげている実践例を交えて解説しました。
多くのBtoB企業では、「お客様のニーズに応えたい」と言いながらも、一般的な顧客満足度調査でさえ継続的に実施されず、「自社の商品/サービスが採用される理由は?」との問いに明確に答えられないケースも散見されます。
取り組みの目的や優先順位は企業により様々ですが、読み手に対する「説得」よりも「納得」や「理解」を促すために、まずは「顧客の声」に耳を傾けることから始めてみては如何でしょうか。
弊社では、こうした調査レポートの制作・活用によるリード創出・案件化を支援しています。目的に応じた調査企画の検討から、設問設計、ネットリサーチの代行、結果分析、レポート作成までをワンストップで支援しています。今後のマーケティング施策の選択肢として、調査レポートの活用を検討いただき、取り組む際には気軽にご相談いただければと思います。
※2025年4月に更新
この記事を書いた人
