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7.202016
「BtoBサイトランキング 2016」トップ3の企業に学ぶ(1) ~用途事例編~
先月、株式会社トライベック・ブランド戦略研究所(http://brand.tribeck.jp/)が、法人向け企業Webサイトのビジネス貢献度を評価する「BtoBサイトランキング 2016」を公開しました。
株式会社トライベック・ブランド戦略研究所は、前身の日本ブランド戦略研究所をトライベック・ストラテジーが2014年8月に子会社化した会社ですが、10年ほど前から独自のノウハウでオウンドメディアの価値やニーズ充足度を定量化し、情報を広く公開しているユニークな事業体です。
そこで、ここでは「BtoBサイトランキング 2016 総合」で評価されたトップ3の企業サイトをケーススタディとして、多くのBtoB企業が学ぶべき要素を取り上げて紹介できればと考えています。
総合1位はオムロン(制御機器)、2位は三菱電機(FA)、3位は?
「BtoBサイトランキング 2016」の総合ランキングでは、1位にオムロン(制御機器)、2位に三菱電機(FA)、そして3位は私の古巣キーエンスが続いてます。
興味深いことに、このトップ3はすべて制御機器(Factory Automation)分野のWebサイトであり、順位もほぼ固定化されつつあります。
ちなみに、この総合ランキングはニーズ充足度に基づいて行われており、ニーズ充足度はアクセス率(ターゲットのうち、過去1年以内に業務目的でアクセスした人の割合)とニーズ充足率(アクセス者のうち、ニーズが充足された人の割合)から算出したものとなっています。
本調査の評価方法・根拠を詳しく知りたい方は、こちらの調査概要をご確認いただければと思います。
製造業におけるキラーコンテンツ「用途事例」
さて、この3社に共通していえる要素として何があると思われるでしょうか?
それは、様々な業種や用途における製品の利活用をサポート・促進する十分な量の「用途事例」を用意していることです。また、その切り口(検索方法)も、課題や業種別、あるいは工程や測定対象別、職種別など様々な視点で絞込み条件を工夫しており、多くの企業が参考にすべきポイントかと思います。
▼総合1位>オムロン
それでは、1位のオムロンから見て参りましょう。
用途・改善事例として、業界別、工程別、製品カテゴリ別にドリルダウンすることができ、その事例件数の多さ(350件と記載)は特筆すべき点といえそうです。
ただ、個人的な意見としては、例えば「食品・薬品・化粧品」だと全57事例を5件ずつページ遷移で探すことになるので、分類の組み合わせで抽出できたり、全文検索ではない事例対象の検索窓で自由検索できると、さらにユーザビリティは高まるのではないかと思いました。
イメージ図も分かりやすいものが多いようです。
▼総合2位>三菱電機
次に、2位の三菱電機を見てみましょう。
事例件数(おそらく213件)こそオムロンにはかなわないが、決して少ないわけではなく、6つの軸(テーマ/業界/職種/工程/作業/製品)で対象の事例を検索できるのは優位点だと思います。
また、オムロンのサイトで指摘させていただいた、分類の組み合わせやキーワードで検索対象を絞っていくことができるので、これだけもユーザーにとってやさしいポイントではないでしょうか。
ちなみに、用途事例ページの最後(下段)には、必ず誘導したいCTA(行動喚起)を表示させており、ユーザー導線に対する配慮がみられます。(オムロン社は、CTAを工夫する余地がありそう)
▼総合3位>キーエンス
最後に、3位のキーエンスを見てみましょう。
筆者の古巣ということもあり、たまに訪問することもあるのですが、全体的なサイトの構成を変えたり、サブドメインで目的に応じたサイトを立ち上げたりと、常に新たな発見があるWebサイトです。
そこはキーエンスならではの観点で、合理性があればどんな改善にも挑戦・着手する、ということなんでしょうか。
こちらの「改善成功事例集」を確認しますと、イメージ図などダントツのクリエイティブだといえそうですが、個人的な意見としては、どんな想定課題に対して、どんな解決方法やメリットがあるのか、もう少し具体的に解説しても良いのではないかと思いました。
関連製品へのリンクや、関連製品カタログのダウンロードなど、導線設計には配慮しているようですが、多くのユーザーには少し拙速なオファーだと感じさせるかもしれません。
ただ、キーエンスのことですので、実証実験の結果やそれなりの理由があって、あえてそうしている可能性はありますが、私がユーザーの立場だったら売り込まれる感じは否めませんね。
(推測ですが、理由があるとすれば、関連製品のページが充実しているので、冗長的な情報の掲載を見送った?)
しかしながら、こちらに異なる視点での用途事例&製品選定の専用ページが用意されておりました。(今回初めて知りました)
ポイントは、判別変位センサ限定ながら、業種別でも工程別でもなく、測定対象・シーン別にその測定範囲や精度を比較しながら製品選定をしてもらえる流れを実現している点です。
付加価値の高い(価格も高い)製品を展開しているキーエンスとしては、ユーザーが求める精度や条件に応じた適切な製品選定をサポートできる可能性があり、ユーザーフレンドリーで秀逸な専用ページではないかと思いました。
また、関連する技術資料など、効果的なCTAを設置することで、お客様の課題感も推測できる導線を確保している点も良いかと思いました。
具体的には、例えば「現場改善のヒント集」と題した技術資料を幾つかのパターンで用意していますので、ダウンロードがあった時点で、その他の閲覧状況や個人情報を組み合わせて判断すれば、お客様がどのような問題意識をお持ちで(営業的に)アツい状態なのかを見極めることも可能でしょう。
- 現場改善のヒント集 ~品質アップ・コストダウン~
- 現場改善のヒント集 ~厚み・振動・振れ・偏心~
- 現場改善のヒント集 ~高さ・幅・温度・荷重・下死点~
- 現場改善のヒント集 ~有無検出・位置決め~
現状、そういったアツいお客様を営業部門に都度送客しているかは把握していませんが、近年ではそういった仕組みを比較的容易に構築できるITツールも活用できますので、それに近い運用をしているのかもしれません。
さいごに
「BtoBサイトランキング 2016 総合」で評価されたトップ3の企業サイトをケーススタディとして、今回は用途事例の活用をテーマにBtoB企業が学ぶべき要素を取り上げましたが、何かヒントを得ていただけたでしょうか?
まずは営業活動における勝ちパターンやお客様の成功事例をベースに、用途事例を収集・整理することからはじめ、掲載件数を増やしていく必要がありますが、そのあとは増えた用途事例をユーザーが探しやすく、また参考にしやすくするような工夫や改善が求められます。
Webサイトの改善は一足飛びには行えないものですので、今回のランキング上位に位置する同業他社のWebサイトを分析して、各社のカイゼン活動につなげていって欲しいと考えています。