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御社のSFA導入は失敗? セルフマネジメントの浸透・推進は成功の鍵

セルフマネジメントSFA(Sales Force Automation)は、一般的に「営業支援システム」とよばれていますが、はたして何割の企業が営業活動を支援(バックアップ)するような運用に至っているでしょうか。

そもそも導入失敗の定義は難しいですが、その多くが「現場の営業担当者が情報を入力してくれない」あるいは「結局、話を聞かないと状況は分からない」といった問題に起因した不満や不信ではないでしょうか。

ここでは、SFA活用の問題点と解決アプローチについて考えたいと思います。

 

mark_title2 SFAは「日報システム」でも「行動管理ツール」でもない

多くの経営者や責任者とのSFAに関する話題で
「あ~日報システムね」
とか
「うちは営業が数名だから、行動管理ツールはいらないね」
など、SFAに対する認識不足や誤解に根強いものを感じます。

確かに、結果的には従来型の活動報告や訪問件数管理などの運用も可能にはなりますが、決してそれが本質ではありませんし、システム利用者による自己申告である以上、どこまでいっても厳密な行動管理は望めないものです。
(モバイル端末の位置情報まで利用する場合は別ですが・・)

従来型の日報(日次の活動報告書)では、外出主体の営業担当者がサボらないよう牽制をかけておく意味合いもあったかもしれませんが、どれほどの効果があったのかは定かではありません。

(あ、キーエンス在職中は効果があったかも。。というのも、当時は携帯するPHSの接続基地局をもとに・・・笑)

いずれにしましても、単に「日報システム」あるいは「行動管理ツール」としての導入では、本来の課題解決や売上アップにつながる運用には至らない確率が高まると考えています。

 

mark_title2「情報共有」という名の下の取り組みには後ろ向きな営業担当者

最近はあまり言われなくなりましたが、十数年前には「情報共有システム」とか、「ナレッジマネジメントシステム」といったキーワードが流行りました。

組織的な活動の成果を高めるには、価値ある情報(ナレッジ)を蓄積して活用する、という目的を背景に推進されましたが、こと営業シーンにおいては、情報の源泉が営業担当者ゆえ、個々人の評価にも反映されない情報共有はむしろ敬遠されたといっても過言ではありません。

「売上」、「目標達成率」といった明確な評価指標が存在する営業部門においては、情報を共有することに対してインセンティブが働きにくいのは必然的なことです。

 

mark_title2 営業担当者の自己管理能力を高める仕組みが必要

自己管理能力、つまりセルフマネジメント力は、営業担当者にとって最も求められるスキルのうちの一つです。
その能力に高い低いはあるにしても、担当顧客への訪問スケジュールや約束事のToDo管理など、何らかの方法でそれぞれ自己管理しているものです。

ある営業担当者は個人所有のメモ帳で、ある営業担当者は個人利用のGoogleカレンダーやEVERNOTE(エバーノート)を、あるいはタスク管理のアプリなどを使って自己管理しているかもしれません。

しかし、組織で活動しながら、それらの情報や活用方法がバラバラで、かつ個人マターで放置されているようでは、マネジメントによる効果も個々人の成長も望めません。もっと言いますと、こうした企業の営業情報が個人のツールやアナログな状態で分散・管理されていること自体がセキュリティ上の問題と言えます。

従いまして、企業としての仕組みや手法を標準化した上で、セルフマネジメントの徹底を促すようなアプローチが必要です。

つまり、営業担当者それぞれがセルフマネジメントのツールとしてSFAを活用した結果、必要な情報が自ずと集約され、未完了タスクのアラートや上司からのアドバイスなどの恩恵を自然と受けられるのが理想的な運用です。

 

mark_title2 特に「ネクストアクション」の管理・徹底は必須

ルート型営業、案件(プロジェクト)型営業のいずれかは問わず、お客様との商談後に次のアクションを設定して、その実行有無を管理していくことは営業活動の基本です。

言ってしまえば、それら1件1件の積み重ねが営業活動そのものです。お客様から何らかの情報を得て、顧客ニーズを満たすためのサポート、あるいは提案活動につなげていくことが求められます。

あるクライアント先での会議同席時の話題となりますが、ネクストアクションの設定をアドバイスした際、
「お客様が今期中の予算確保は難しいと仰るので、現時点で具体的な予定はないです」
と悪びれる様子もなく返答されたことがあります。

私からは、
「お客様の期末はいつでしょうか?来期の予算獲得のタイミングを把握されてますか?」
と伺うと、
「おそらく、3月だと思いますが・・予算調整のタイミングまでは・・」
と曖昧な返答。

「であれば、お客様に来期予算の調整時期を確認して、どんな検討材料があればお手伝いできるかを伺いましょうか」
と伝えると、
「そうですね、ネクストアクションありました」と。

他方で、
「商談メモを見ると、現時点での概算見積が欲しいと書いてありますが、それはいつ提出予定ですか?」
と伺うと、
「来週までには提出するつもりですが、見積もるための確認事項があるので、別途電話でヒアリング予定です」
という返答。

「であれば、そのヒアリングをいつ行うかをネクストアクションとして設定しておくと確実ですね」
と伝えると、
「確かにタスク管理を徹底できますね」
と徐々にネクストアクション設定の重要性を理解してもらえます。

これらのタスク管理自体は当人のセルフマネジメント目的ですが、それはお客様のためにもつながります。

こうした具体的なネクストアクションは、タスク管理の徹底は勿論、商談メモを共有した上司からは、「ヒアリングするのであれば、念のため○○も確認してリスクヘッジしておこう」などといった事前アドバイスや指示を受けられます。

つまり、事前のアドバイスを受けて次の行動に(良い)変化が生まれ、それが成果につながります。知識や経験を持ち合わせた上司や同僚からアドバイスを引き出す力というのも、偶然ではなく必然のスキルかもしれません。

事後報告である日報を見て、終わった後に「ああだこうだ」言われるだけの運用と比べ、その後の成果が大きく異なってくることは、賢明な読者であればお分かりかと思います。

 

mark_title2 営業担当者へのさらなる動機付けとして

営業部門であれば、予算(売上目標)に対する見込額や達成率など、いわゆる案件管理表(フォーキャスト)を作成して営業会議の検討材料にしていると思います。また、業種・業態にも依りますが、顧客への訪問件数や見積件数、あるいはキャンペーンの適用件数など、活動に対する評価指標を計測するためのExcelシートを別途作成されているシーンもよく見受けます。

こうした案件や活動の情報は、日々の商談メモや報告がそのまま必要なアウトプット(会議資料や経営判断資料等)に反映されることが望ましく、顧客対応に専念して欲しい営業担当者に「重複入力」などさせないことです。多くの場合、入力のためにExcelのシートが回された途端、他方の報告に対して優先度が下がるものです。

従いまして、経営や営業活動のために必要な情報をしっかり正規化して、その情報をいかに活用して成果につなげていくかを仕組みにしていくことが肝要です。

 

mark_title2 まとめ

今回は、導入されたSFA(営業支援システム)が、営業活動を支援(バックアップ)するような運用に至っていない問題を取り上げ、利用者となる営業担当者の自己管理能力を高めるためのツールとして活用する必要性をお伝えしました。

管理志向だけでは、SFAの活用、あるいは営業活動の自律改善は期待できない、ということです。もっと言いますと、果たしてどれだけの営業マネージャーが期待するマネジメントを発揮されていらっしゃるでしょうか?

特に、営業という役割上、営業個人として成果(売上)を上げてきた方が昇進され、管理職になる傾向があります。つまり、マネジメントに関する知識やノウハウを持っているとは限らないのです。「名選手、名監督にあらず」ですね。

部下に対して常に「相談しろ」とか「報告しろ」などと言うわりに、入力されたSFAの情報を見ない(見る気もない)マネージャーが少なくないことも事実ではないでしょうか。

管理志向を強める前に、営業個々人がやるべきことを抜け漏れなくしっかり実行できる、あるいは営業活動全体をサポートできるような運用・仕組み作りを進めたいものです。

この記事を書いた人

堀首 裕芳
堀首 裕芳代表取締役/CRMシニアコンサルタント
FA機器を製造・販売する株式会社キーエンスにて、営業の面白さや難しさ、奥深さを知る。
その後、複数のベンダーでSFA(営業支援システム)やCRM(顧客関係強化)領域のコンサルティングや営業管理職を務め、2011年にB2Bマーケティング株式会社を設立。
BtoB企業の顧客獲得や売上アップに貢献すべく、日々奔走中。

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