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人材流動化による機会損失を抑止する、SFA導入による顧客接点管理の必要性

ビジネスパーソン5,000人のうち、転職を考えている人は約4割の39.1%という事実。

これは、インテリジェンス社が運営する転職支援サイトDODA(デューダ)が公開している調査結果の一つです。

DODA_report

ビジネスパーソン5,000人の転職意識調査(DODA調べ)
※リンク切れの際はご容赦下さい。

調査の対象者は、関東・関西・東海に住む22~59歳のホワイトカラー系職種の男女5,000人ということですから、無視できない実態を示しているのではないでしょうか。(調査時期は2015年7月)

さらに、転職に対して「ポジティブな印象がある」あるいは「どちらかといえばポジティブな印象がある」と回答した肯定派は45.0%という結果に。

過去調査との対比がないのであくまで感覚値ですが、おそらく筆者が社会に出た十数年前と比べると、転職に対する捉え方は柔軟かつポジティブに変化してきているのではないでしょうか。

実際、私自身も起業する前に4回ほど転職を経験しておりますので、前向きな転職にはポジティブな印象を持っています。ただし、この“前向きな”というニュアンスに個人差があるでしょうし、個々人で何を目的とするか、何を重視するかで見方は大きく変わるものだと考えてます。(ですので、何か良いとか悪いとか一概にはいえないですね)

 

mark_title2 人材は流動するものと捉え、組織体制を維持・強化し、企業経営を行う必然性

crm customer relationship managementさて、前置きが長くなりましたが、、

国内の少子高齢化による労働市場の変化やグローバル化の加速により、この人材流動化の傾向は強まることはあっても弱まることはないと考えています。

つまり、原則として人材は流動するものと捉えて、組織体制を維持・強化し、企業経営を行う必然性が増している、ということがいえます。

特に、営業部門やサポート部門など、よりお客様に近い現場ほどコンタクト(接点)情報を管理・共有していく必要性があると考えています。

代表ブログの

キーエンス流営業力強化に学ぶ(その2)~顧客接点情報の管理と共有~

でもお伝えしてますが、あの超高収益企業のキーエンス社でも十数年前までは紙の顧客カードでキーマンやコンタクト情報を管理し、顧客攻略や引き継ぎに活用しておりました。

ちなみに、これらの顧客カードには、住所や電話番号などの基本情報に加えて、例えば、

  • 各製品のキーマン(製品の選定者や購入者)
  • 競合製品の利用状況とシェア(仕入れ価格含め)
  • パーソンごとの特徴(性格や趣味など)
  • 取引先に関する情報(機械等の発注元を押さえることも重要)
  • 電話や訪問における接点情報(どんなやり取りや約束をしたか等)

など、かつて担当した営業マンがコツコツと蓄積してきた情報が記されていました。

当時は典型的なアナログ管理ではありましたが、そこはキーエンス社ならではの風土や運用徹底により、営業現場には欠かせない重要なツールとなってました。

そして、国内ではまだSFA(営業支援システム)というソリューションがほとんど認識されていない時期に、営業力強化と業務効率化を目的にシステム化されました。システム化される以前から強力な情報収集力で成果につなげていたキーエンス社が情報武装化されたことにより、より強力な営業組織に昇華するきっかけの一つになったと考えてます。

さて、「うちの会社では日報を書かせているから大丈夫だ」と思われた経営者や営業責任者がいらっしゃるようであれば一つ伺いたいと思います。

その日報の情報は企業ごと、担当者ごと、あるいは商談(案件)ごとに時系列で振り返ることができますか?

あるいは、

その日報を見て、相手のお客様がどんな課題をお持ちなのか?

その商談が進捗しないのはなぜか?

などが分かるような生きた情報になっているでしょうか?

「どこどこにいつ訪問した」あるいは「プレゼンを行った」といった活動の事実だけでなく、お客様の反応や営業担当者本人の推測など、当人のセルフマネジメントとしては勿論、組織営業力につながるような情報活用ができているかをお聞きしたい。

こうなると、単にシステム導入を果たしただけでは解決されるものともいえませんが、少なくともデジタル化・データベース化されていないと多くの企業では標準化することさえ困難なことだと考えてます。

また、人材の流動化は何も自社に限ったことだけではありません。

当然、お客様サイドの人員も流動的ですよね。何も転職するということばかりではなく、部門や拠点間の異動など、担当者が変わるタイミングは様々です。

このときに、前任者とどんなやり取りをしていたか、あるいはどんな約束事をしていたかなど、こちらがそれらの情報を把握しておくことで、後任者との関係強化や交渉にどれだけ役立つかは言わずもがなかと思います。

 

mark_title2 もはや顧客の信頼低下を引き起こすだけの引き継ぎができない体育会系企業

体育会系営業それでは、顧客接点管理の必要性を示唆する、一つのエピソードをお伝えしようと思います。

皆さんの勤務先でもそうだと思いますが、弊社のような小規模企業でも、営業的なWeb問い合わせや営業電話は日々絶えません。

もちろん、単なる売り込みではない、建設的なご提案もありますので、内容により丁寧に対応させていただくのですが、そうも言ってられないケースもありました。

ある広告商材を取り扱っている会社では、とにかく若手の営業社員からのアプローチが数年前から絶えませんでした。

それ自体は、筆者も営業経験者ゆえに「よく頑張ってるなぁ。少しは話を聞いてあげようかな。」と一度来社してもらったこともありました。

しかしながら、弊社の予算やタイミングと合わなかったので、具体的な商談には至りませんでした。その際は、きちんとその背景や理由をお伝えしましたので、その担当者も理解されていたと思います。

この後、数ヶ月経ったあたりからでしょうか、異なる担当者から初めてアプローチするようなWeb問い合わせをもらったり、またあるときは異なる担当者から営業電話をもらったり、し始めました。

当初、こちらから以前の担当者との経緯を伝えて「必要なタイミングでこちらから連絡させていただく」と、営業無用の合意を丁寧に取り付けました。ところが、こちらの会社では人の出入りが激しいのか、新たな担当者が前任との引き継ぎを伴わず、入れ替わり立ち替わり連絡してくるようになったのです。

さすがの私も「こんなことをしてたら、御社の株を下げるだけだよ」と戒めたのですが、もはやそんなことはお構いなしに次の担当者がアプローチしてきているようです。

人の出入りが激しいことや体育会系の企業風土自体には何も言えることはないのですが、やはり組織としてお客様とのコミュニケーションをどの様にとっていくのか、どんな付加価値を提案していくのかなどを社内で共有した上で、顧客情報管理の仕組みを整備していくことは、経営者や部門責任者の責務ではないかと考えています。

責任・権限のある方々には、一度社内の実態を把握していただき、しかるべき対策を検討いただければと思います。

この記事を書いた人

堀首 裕芳
堀首 裕芳代表取締役/CRMシニアコンサルタント
FA機器を製造・販売する株式会社キーエンスにて、営業の面白さや難しさ、奥深さを知る。
その後、複数のベンダーでSFA(営業支援システム)やCRM(顧客関係強化)領域のコンサルティングや営業管理職を務め、2011年にB2Bマーケティング株式会社を設立。
BtoB企業の顧客獲得や売上アップに貢献すべく、日々奔走中。

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