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展示会とオンラインセミナーはどう使い分けるべきか?BtoBマーケティングにおけるイベント施策の実態調査から考察する

新型コロナウイルスの感染拡大をきっかけに、BtoBマーケティングにおけるイベント施策は大きく変化しました。それまで多くの企業にとって有力な顧客接点であった展示会(ここでは、リアル展示会を指す)は、開催延期や中止、来場制限などの影響を受け、代替手段としてオンラインセミナー、いわゆるウェビナーの活用が急速に広がりました。移動を伴わず、比較的低コストで実施できるオンラインセミナーは、リード獲得や見込客育成の手段として定着し、今ではBtoB企業にとって欠かせないマーケティング施策の一つになったと言えます。

一方で、アフターコロナの現在においては、リアルな展示会も再び活況を取り戻しています。実際に会場へ足を運び、製品やサービスを見たり、担当者と直接会話したりできる展示会ならではの価値も、あらためて見直されているようです。では、BtoB企業は展示会とオンラインセミナーをどのように位置づけ、どのように活用していくべきなのでしょうか。

今回は、弊社のパートナー企業でもあるITコミュニケーションズ社が公開している『BtoBマーケティングにおけるイベント施策に関する実態調査2025』を参考に、BtoB企業におけるイベント施策の実施状況や、展示会・オンラインセミナーそれぞれの役割について考察したいと思います。

引用元:BtoBマーケティングにおけるイベント施策に関する実態調査2025|株式会社ITコミュニケーションズ 

※掲載した情報は引用元の承認を得ています。

なお本調査は、BtoB企業においてマーケティング・広報・販促・企画業務に携わる25~59歳の担当者237名を対象に、2025年10月3日~8日にかけて実施されたインターネット調査となります。

 

ポイント1> 昨年度に実施したマーケティング施策は「展示会」が最多。リアル接点の重要性は依然として高い

[設問] 昨年度に実施したマーケティング施策は?(n=237)

※選択肢の一部を省略して表記:オンライン広告(リスティング/ディスプレイ/SNS広告など)、コンテンツマーケティング(ブログ記事、事例公開など)、マス広告(テレビ/ラジオ/新聞/雑誌広告など)、資料ダウンロード(ホワイトペーパーなど)

昨年度に実施したマーケティング施策では、「展示会(オンラインを除く)【52.3%】」が突出して多く、2位の「メールマーケティング【37.1%】」に15ポイント以上の差をつけています。3位には「オンラインセミナー(自社主催)【36.7%】」が続きました。

コロナ禍以降、BtoBマーケティングにおいてはデジタル施策への移行が一気に進みました。オウンドメディア、ホワイトペーパー、メールマーケティング、オンラインセミナー、Web広告、SNSマーケティングなど、オンライン上で見込客と接点を持つための施策は、今や多くの企業で欠かせない取り組みになっています。そのような状況においても、展示会が最上位となっている点は非常に興味深い結果だと言えます。もちろん、展示会は出展費用やブース設営、人員配置、準備工数など、オンライン施策に比べて負荷の大きい施策です。それでも多くの企業が重視している背景には、BtoB商材ならではの検討プロセスが関係していると考えられます。

例えば、BtoB商材は複数の関係者が関与し、比較検討や社内合意を経て導入決定に至るケースが一般的です。特に高額商材や専門性の高い商材では、Webサイト上の情報だけでは不十分だと認識される場合も少なくありません。その点、展示会では、担当者と直接会話しながら疑問点を解消したり、実際の製品・サービスのデモを見たり、競合製品と比較したりすることができます。つまり、展示会は単なるリード獲得の場ではなく、検討者の理解を深め、信頼形成のきっかけをつくる場として機能していると考えられます。

一方で、メールマーケティングやオンラインセミナーも上位に入っていることから、企業側はリアル接点だけに依存しているわけではありません。展示会で獲得した接点に対して、メールやセミナーを通じて継続的に情報提供を行い、検討度合いを高めていくような取り組みが求められていることを示唆しています。言い換えると、展示会単体で成果を出すのではなく、展示会を起点に、その後のフォローやナーチャリングにつなげる設計が重要になっていると言えます。

 

ポイント2> 展示会のメリットは「ブランド認知・存在感」と「来場者の反応」。リアルならではの体験価値が評価されている

[設問] 展示会への出展(または開催)には、どのようなメリットがあると考えているか?(n=124)

展示会のメリットとして最も多かったのは、「ブランド認知・存在感を高める機会【58.1%】」でした。次いで「来場者の関心度や反応を感じ取れる【51.6%】」と「製品・サービスを実際に見たり触れてもらうことができる【50.0%】」が挙げられました。

この結果から、展示会は単に名刺を集めるための場ではなく、ブランドの認知形成や、見込客の反応を直接確認できる場として評価されていることが分かります。BtoB企業のマーケティングでは、どうしてもリード件数や案件化件数、受注件数といった評価指標を重要視しがちです。もちろん、投資対効果を判断する上で定量的な成果を追うことは重要です。しかし、展示会の価値はそれだけでは測りきれない部分もあります。

例えば、来場者がどのような課題意識を持っているのか、どの話題に強く反応するのか、競合製品と比較してどの点に関心を示すのかといった情報は、Webサイトのアクセス解析や資料のダウンロード傾向だけでは十分に把握できません。展示会では、営業担当者やマーケティング担当者が来場者と直接対話することで、こうした生の反応を得ることができます。これは、今後のコンテンツ制作や営業資料の改善、製品訴求の見直しにも活用できる重要な情報となります。

また、「製品・サービスを実際に見たり触れてもらうことができる」という点も、展示会ならではの価値と言えます。特に、機能や仕様だけでは差別化が難しい商材や、導入後の利用イメージを持ってもらうことが重要な商材では、実際の体験を通じて理解を深めてもらうことが有効です。

さらに、展示会には「偶発的な出会い」もあります。Web検索や広告経由では接点を持てなかった企業や、まだ明確な課題意識を持っていない潜在層と出会える可能性があります。こうした接点は、短期的な商談にはつながらなくても、中長期的には認知や信頼の形成に寄与するものです。ただし、展示会で得られた接点を成果につなげるためには、出展後のフォロー設計が欠かせません。来場者の課題や関心に応じて、どのような情報を、どのタイミングで届けるのかを設計しておかなければ、せっかくの接点が一過性のものになってしまいます。
展示会の価値を最大化するには、出展前の集客活動、当日の接客、出展後のフォロー、そしてコンテンツや営業活動へのフィードバックまでを一連のプロセスとして捉える必要があります。

 

ポイント3> オンラインセミナーは参加ハードルの低さが強み。リード獲得だけでなく顧客育成の場として活用したい

[設問] オンラインセミナーの開催には、どのようなメリットがあると考えているか?(n=87)

オンラインセミナーのメリットとして最も多かったのは、「参加者の移動負担がなく、参加のハードルが低い【65.5%】」でした。続いて、「地理的制約がなく、広範囲にリーチできる」と「少人数から大規模イベントまで柔軟に対応可能」がいずれも47.1%となっています。

オンラインセミナーの最大の強みは、やはり参加のしやすさにあります。展示会やリアルセミナーの場合、参加者は会場まで足を運ぶ必要があります。日程や場所の制約も大きく、遠隔の企業や多忙な担当者にとっては、参加したくても参加できないケースが少なくありません。一方、オンラインセミナーであれば、移動の時間・コストをかけずに参加できるため、参加者側の心理的・物理的なハードルを下げることができます。開催企業にとっても、全国の見込客にリーチしやすくなるため、商圏を広げる施策として有効です。

また、オンラインセミナーは少人数向けの勉強会から、大規模な集客を目的としたウェビナーまで柔軟に設計できます。テーマやターゲット、検討フェーズに応じて企画を分けやすい点も特長です。例えば、課題認知層向けには市場動向や課題提起をテーマにしたセミナーを実施し、比較検討層向けには製品デモや導入事例を中心としたセミナーを実施する。既存顧客向けには活用方法やアップセルにつながるテーマを設ける。このように、オンラインセミナーは単なるリード獲得施策にとどまらず、リードナーチャリングや顧客育成の手段としても活用できます。

実際、同調査ではオンラインセミナーの目的として「リードの獲得」が59.8%で最多となっており、「製品・サービスの認知度向上」や「既存顧客やパートナーとの関係強化」も上位に挙がっているものの、展示会と比較するとオンラインセミナーはリードナーチャリングを目的として活用される傾向も見られました。こうした点を踏まえると、オンラインセミナーは「一度開催して終わり」の施策ではなく、継続的なコミュニケーションの場として捉えるべきでしょう。
開催後には、参加者・欠席者・アーカイブ視聴者などに分けてフォローを行い、関心テーマに応じた資料や関連記事、個別相談の案内につなげていく。さらに、セミナーで得られた質問やアンケートの回答をもとに、次回の企画やホワイトペーパー、ブログ記事などに展開することも可能です。

オンラインセミナーは、比較的実施しやすい施策である一方、企画の質やテーマ設定によって成果が大きく左右されます。単に製品説明を行うだけではなく、ターゲットが抱える課題に対して、気付きや解決の方向性を提供できる内容にすることが重要だと言えます。

 

ポイント4> 施策効果は「オンライン/オフラインの統合」が鍵。LLMO・GEOの効果から見える一次情報の重要性

[設問] 昨年度実施したマーケティング施策において、それぞれ効果の程度は?(n=124)

昨年度に実施したマーケティング施策の効果について見ると、「非常に効果が高かった」と「効果が高かった」を合計した割合では、「マス広告」が55.1%で最も高く、次いで「オンラインセミナー(メディア主催)」が51.9%、「LLMO・GEO(生成AI対策)」が50.0%、「展示会(オンラインを除く)」が49.1%と続いています。
この結果から分かるのは、特定の施策だけが突出して有効というよりも、施策ごとの目的や役割を踏まえ、複数の接点を組み合わせることの重要性です。

例えば、展示会は潜在客や見込客と直接会話し、課題や反応を把握する場として有効です。オンラインセミナーは、獲得したリードに対して継続的に情報提供し、検討度合いを高める場として活用できます。メールマーケティングやコンテンツマーケティングは、接点を維持しながら、顧客の検討プロセスに応じた情報を届ける役割を担います。つまり、BtoBマーケティングでは「展示会かオンラインセミナーか」「リアルかオンラインか」という二者択一ではなく、各施策の強みを生かしながら、顧客接点全体を設計する視点が重要です。

また、今回特に注目したいのが、「LLMO・GEO(生成AI対策)」において、「非常に効果が高かった」と回答した割合が最も高かった点です。LLMO・GEOは、生成AIやAI検索の利用が広がる中で、自社の情報がAIにどのように参照・要約・推薦されるかを意識した取り組みです。現時点では、昨年度実施した施策としてLLMO・GEOを挙げた企業は5.1%にとどまっており、取り組んでいる企業はまだ一部に限られます。しかし、実施企業の中では高い効果を感じている層も一定数存在していることがうかがえます。

ここで重要になるのが、制作するコンテンツの質についてです。
生成AIが情報収集や比較検討の入り口になりつつある中で、単に一般論をまとめただけのコンテンツや、既存情報を再編集しただけの記事では、企業の専門性や信頼性を十分に伝えることが難しくなっていく可能性があります。一方で、自社独自の調査データ、顧客事例、現場で得られた知見、専門家による考察などを含むコンテンツは、他社にはない一次情報として価値を持ちます。こうした情報は、検索エンジンや生成AIにとっても参照価値の高い情報になり得るだけでなく、読み手にとっても実務に役立つ学びの多いコンテンツになります。

今回取り上げているITコミュニケーションズ社の調査レポートも、まさに一次情報を活用したコンテンツの一例です。調査データを公開することで、市場や顧客の実態を可視化し、自社の専門性や問題意識を伝えることができます。さらに、その調査結果に自社なりの考察を加えて発信することで、単なる情報提供にとどまらない、読み手にとって価値のあるコンテンツへと発展させることができます。

今後のBtoBマーケティングにおいては、展示会やオンラインセミナーで得た顧客の声、営業現場で把握した課題、独自調査のデータなどを、いかにコンテンツとして再編集し、継続的に発信していくかが重要になると考えています。リアルな接点で得た情報をオンラインコンテンツに活かし、そのコンテンツをセミナーや営業活動、さらには生成AI時代の情報接点にもつなげていく。こうした統合的な取り組みこそが、今後のBtoBマーケティングにおける成果創出の鍵になると考えておいてよいでしょう。

 

上記の設問以外には、「展示会/オンラインセミナーにおいて効果が高かった要因は?」、「来期以降、特に強化したいマーケティング施策は?」といった点についても明らかにしていますので、詳細を知りたい方はこちらからレポートをダウンロード頂ければと思います。

 

 さいごに

今回は、ITコミュニケーションズ社が公開した『BtoBマーケティングにおけるイベント施策に関する実態調査2025』を参考に、展示会とオンラインセミナーを中心としたBtoBマーケティング施策について考察しました。

調査結果から見えてくるのは、展示会とオンラインセミナーのどちらが有効かという単純な話ではありません。展示会には、ブランド認知や信頼形成、来場者の反応把握、製品・サービスの体験価値といった強みがある一方、オンラインセミナーには、参加ハードルの低さ、地理的制約の少なさ、柔軟な開催設計、リードナーチャリングへの活用しやすさがあります。

また、マーケティング施策の効果という観点では、オンライン/オフラインを分けて考えるのではなく、複数の施策を組み合わせて顧客接点全体を設計することが重要です。展示会で新たな接点を創出し、オンラインセミナーやメールマーケティングで継続的に情報提供を行い、ホワイトペーパーや導入事例、コラム記事などのコンテンツを通じて検討を後押しする。さらに、見込客の反応や行動データを営業活動に活かすことで、マーケティングと営業の連携を強化することができます。

加えて、生成AIの活用が広がる中では、企業が発信するコンテンツのあり方も変わりつつあります。一般的な情報を整理するだけでなく、自社独自の調査データや顧客事例、現場の知見、専門的な考察を含むコンテンツを蓄積していくことが、検索やAI経由での情報接点を広げる上でもますます重要になっていくでしょう。
BtoBマーケティングにおいては、単発の施策で大きな成果を出すことは容易ではありません。ターゲットの課題や検討プロセスを理解した上で、複数の施策を組み合わせ、継続的に接点を設けながら信頼関係を築いていくことが求められます。

今回のような調査レポートは、見込客に対して有益な情報を提供しながら、自社の専門性や問題意識を伝えるコンテンツとしても非常に有効です。調査結果を単に紹介するだけでなく、自社なりの考察や実務上の示唆を加えることで、ターゲット企業にとって価値のある情報発信につなげることができます。
弊社では、BtoB企業のリード獲得やナーチャリング、営業活動の生産性向上を目的としたコンテンツ制作や調査レポート制作、マーケティング施策の企画・実行を支援しています。展示会やオンラインセミナーの成果を高めたい、調査データを活用したコンテンツを制作したい、自社の強みや専門性を伝える情報発信を強化したいとお考えの方は、気軽に弊社までご相談頂ければと思います。

 

この記事を書いた人

堀首 裕芳
堀首 裕芳代表取締役/CRMシニアコンサルタント
FA機器を製造・販売する株式会社キーエンスにて、営業の面白さや難しさ、奥深さを知る。
その後、複数のベンダーでSFA(営業支援システム)やMA(マーケティング支援システム)に関わるコンサルティング、営業管理職を務め、2011年にB2Bマーケティング株式会社を設立。これまでに、CRM/SFAに関わるコンサルティング案件は300社を超え、デジタルマーケティングに関わる支援案件は100社を超える。
BtoB企業の顧客獲得や売上アップに貢献すべく、日々奔走中。

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