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5.292025
7割が重視している新規顧客開拓、調査データから読み解くBtoB企業の営業課題と改善策

継続性と再現性が求められる「新規顧客開拓」は、BtoB事業において永遠の課題と言えます。これまでも時代の流れに応じて、Webサイトを充実させたり、資料ダウンロードサイトを利用してみたり、ウェビナーを開催してみたりするなど、ほとんどの企業で新規顧客を開拓する取り組みを試行錯誤してきたのではないでしょうか。実際、新規顧客開拓に関する課題を多くのBtoB企業が問題視していることは、これまでに公開されてきた公的機関による各種調査でも明らかになってます。
例えば、直近のものとして、大阪商工会議所を中心とした商工会議所によって2025年3月にリリースされた『中堅・中小企業の業況・経営課題等に関する調査』がありますが、重点的に取り組みたい経営課題として「新規顧客開拓・販路開拓(57.1%)」が最上位に示されています。1年前に実施された同調査と比較しても8ポイントほど増加しており、今まさに新規顧客開拓の成否が問われていると言えそうです。調査に協力した企業の声として、「コスト高騰が続く中、既存顧客への値上げ労力は大きく、新規顧客を獲得する方が即効性がある」や「海外販路を拡大したい」、「人員確保が課題」といった悩み事も紹介されており、興味を持った方は以下のリンクからご確認ください。
参照元:中堅・中小企業の業況・経営課題等に関する調査|大阪商工会議所、他
そこで本記事では、弊社のご支援先でもあるユーソナー社が先日(2025年4月)公開した『BtoB企業の営業実態調査【2025年】』を参考に、BtoB企業の新規顧客開拓に焦点を当てた営業に関する課題や、その解決に向けたヒントについて深掘りしてみたいと思います。
引用元:BtoB企業の営業実態調査【2025年】|ユーソナー株式会社
※掲載した情報は引用元の承認を得ています。リンク切れの際は、ご容赦ください。
なお、本調査はBtoB企業に勤める経営企画・広報・販売促進・マーケティング・営業関連の業務に従事している社員を対象に行われ、498名の回答を得た結果となります。 ※回答者の属性(勤務先の従業員規模・業種、職種、立場)はレポートを参照ください。
ポイント1> 約7割が新規顧客開拓を重視しているにも関わらず、目標を達成できたのは4割程度にとどまる
[設問] 勤務先における「新規顧客開拓」の重要度は?(1つだけ選択)
調査結果を見ると、約7割が新規顧客開拓を「かなり重要(34.1%)」または「やや重要(35.5%)」と回答しています。つまり、多くのBtoB企業が新規顧客の獲得を事業成長の重要事項と認識していることがわかります。逆に「重要ではない(6.0%)」と「まったく重要ではない(2.0%)」を合わせても、わずか8.0%という結果でした。こうした結果からも、先述したように『新規顧客開拓はBtoB事業において永遠の課題』を表していると言えるのではないでしょうか。
また、「かなり重要」あるいは「やや重要」を選択した回答者に対する別の設問『新規顧客開拓の目標に対する達成度』を見ると、「大きく達成(7.8%)」と「ほぼ達成(33.4%)」を合わせて41.2%となっており、約7割が新規顧客開拓を重視しているにも関わらず、目標を達成できたのは4割程度にとどまっていることが判明しています。
こうしたギャップの背景には、全体のマーケティング戦略や営業活動が目標に結びついていない可能性が考えられます。例えば、ターゲティングの不備をはじめ、顧客データの活用不足、営業チームとマーケティングチームの連携不足など様々な要因が考えられますが、これは各社での十分な検証が必要です。特に、目標に対して「未達成(16.4%)」あるいは「目標と大きく乖離(3.5%)」と回答した約2割の企業では、課題が明確でありつつも、その解決方法にたどり着けていないという深刻な状況に陥っている可能性もあり、現時点で手立てがない場合は外部の専門家に相談するなど、速やかなアクションを推奨します。
ポイント2> 新規顧客開拓の推進に向け、営業現場がターゲティングや有効な営業リストの確保に苦慮している⁉
[設問] これまでに実施してきた「新規顧客開拓」における課題は?(すべて選択)
新規顧客開拓において、「営業スキル・ノウハウの不足(36.3%)」と「競合他社との差別化(33.3%)」が具体的かつ深刻な課題として浮き彫りとなりました。特に営業人材のスキル不足は、人的リソースに依存してしまいがちなBtoB企業において、新規顧客を効果的に獲得する上での大きな障壁となっていると言えそうです。また、競合他社との差別化が困難であるという状況は、自社の価値提案やポジショニングが市場に明示できていないことを示唆しています。こうしたことが、価格競争に陥りやすい状況や顧客開拓の停滞を引き起こしている可能性も考えられます。
また、「ターゲット設定の難しさ(24.1%)」に加えて、「営業リストの不足(20.7%)」や「営業リストの精度(21.5%)」は、いずれも顧客データやターゲット選定にまつわる課題として理解できます。こうした結果から、営業現場がターゲティングや有効な営業リストの確保に苦慮している現状が垣間見られます。特に、適切にターゲットを設定できないことで、マーケティング活動全体の非効率や、施策におけるROI(投資対効果)の低下を招く影響も懸念されます。
こうした課題を解消するためには、これまでの実績や顧客の声を踏まえた上で顧客ペルソナや差別化戦略の見直しを進め、市場や顧客の動向が反映された顧客データベースの再構築が求められます。例えば、近年注目を集めているインテントデータを活用した営業活動の実践(顧客の行動データや検索履歴から興味関心の対象やニーズを特定し、効率的かつ効果的なアプローチを試みる営業手法)や、浸透しつつあるMA(マーケティング・オートメーション)のスコアリング機能を活用するなど、ターゲットリストの確保や精度アップに向けた取り組みも選択肢の一つとなるでしょう。
ただし、そうした取り組み以前に、ターゲットに対するコンテンツ開発には用意周到さが求められます。特定の営業人材に依存することなく再現性を維持するためには、継続的なコンテンツ開発と併せ、見込客との関係性強化を図る仕組み(メールマーケティングなど)の整備に注力する必要があるでしょう。
ポイント3> 新規顧客開拓の成果を高めるため、顧客データベースには「情報の新しさ」と「ニーズを示す情報」を求めている⁉
[設問] 新規顧客開拓の成果が高まるような営業リストを用意するには、どのような顧客データベースを保有するのが望ましいと思うか?(すべて選択)
新規顧客開拓の成果を高める顧客データベースとして、「最新の基本情報(28.1%)」を最上位に、「高精度な名寄せ(21.7%)」や「全社のデータ統合(21.3%)」といった項目が多く選択されました。これらはいずれも営業リストや顧客データベースにおける基本的な品質を担保する要素であり、それぞれに問題があるとリストの活用効果が大きく損なわれることを示唆しています。
こうした結果は、最新で正確な情報が不足してしまうことで、ターゲティングミスやアプローチの非効率につながっている現実の裏返しとも言えそうです。特に、名寄せの精度が低く、一貫性のないリストをもとに営業活動を行うと、同一顧客へのアプローチが重複してしまったり、重要顧客を見逃すリスクも高まるものです。
これらの課題に対応するには、保有する顧客データを定期的に更新し、CRM(顧客管理システム)やMA(マーケティング・オートメーション)などのツール活用を通じて、全社で顧客情報を統合管理する仕組みを構築する必要があります。また、営業リストの作成段階で高精度なデータクレンジングを取り入れることも選択肢の一つとなるでしょう。
また、最多の「最新の基本情報(28.1%)」と0.4ポイントの差しかなかった「ニーズを示す付加情報(27.7%)」が多くの支持を得ていることは、新規顧客開拓を推進したい企業にとって、単なる基本情報以上の「行動データ」や「インサイト」がいかに重要視されているかを表しています。
一般的な営業リストには、企業名や電話番号、担当者名といった基本情報が記載されているものですが、顧客がどのような課題を抱え、何に関心を持っているのかという「解像度の高い情報」があれば、より的確で効果的なアプローチを可能とするのは言うまでもありません。具体的には、自社のオウンドメディアへのアクセス履歴をはじめ、顧客の経営課題や特定製品の導入(あるいは、検討)状況などを含んだ「ニーズを示す付加情報」が営業リストに盛り込まれることで、顧客に応じて個別最適化された提案やアプローチが可能となります。
つまり、特定の経営課題を抱える企業に絞ったアプローチを行う、あるいは、競合他社の製品情報を積極的に収集している企業に対して他社に先んじた営業活動を展開するなどのアクションにつなげることで、新規顧客開拓の成果を高めたいと考える企業が少なくないことが示されていると言えます。
なお、本調査では上記以外の設問として、「新規顧客開拓の手段とそれぞれの重要度は?」、「営業リストの精度に関わる具体的な問題点は?」、「新規顧客開拓の成果を高めるには、どのような顧客データベースが求められるか?」、「営業活動に利用しているITツールは?」などについても明らかにされています。詳細を知りたい方は、こちらからレポートをダウンロードいただければと思います。
さいごに
本記事では、BtoB企業の新規顧客開拓に関わる課題や、その解決に向けた調査結果を参考に考察してみました。調査からは、約7割が「新規顧客開拓」を重視しているにも関わらず、目標を達成できたのは4割程度にとどまっていることが示されましたが、人的リソースや営業ノウハウの不足、顧客リストの不足やその精度など、解決すべき多くの課題を抱えていることが浮き彫りになりました。
また、効果的で効率的な新規顧客開拓の推進には、正確で十分な顧客データベースや、ターゲットの行動履歴やニーズに基づいた付加情報の活用が鍵となることが示唆されました。そうしたインテントデータを活用した営業活動を推進していくためにも、競合他社との差別化戦略の見直しをはじめ、ペルソナの再設定、顧客とのコミュニケーションや動機づけに役立つコンテンツ開発を推し進めていく必要があります。
【参考】コロナ禍を受け、訪問営業よりリモート営業が好ましい?! デジタルマーケティングを推進する際のコンテンツ開発の考え方と進め方
弊社では、こうした問題意識を持つ、あるいは具体的な課題を抱えるBtoB企業に対して、戦略設計から関連施策の実行支援、ITツールの利活用まで総合的なサポートを行っております。顧客開拓プロセスの効率化や成果の向上に向けた取り組みを検討される際は、気軽に弊社までご相談いただければと思います。
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