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調査PR/調査リリースとは?BtoB企業が実施する際の基本と実践方法を徹底解説

mark_title2 調査PR/調査リリースとは

調査PR/調査リリースとは、企業が調査で得た結果(データ)をプレスリリースとして広く配信する広報・PR手法です。その主たる目的は、自社の商品・サービスの認知拡大や販売促進となりますが、直接的に商品・サービスに関する調査でなくても、関連するテーマや商品・サービスの必要性を想起・連想できるような調査であれば成果につなげることができるのは重要なポイントだと言えます。

ちなみに、「調査PR」と「調査リリース」がそれぞれ示すものは、厳密には少し異なる(知りたい方はググってみてください)ようですが、ここでは同様の意味として扱います。

 

mark_title2 調査PR/調査リリースを実施する5つのメリット

調査PR/調査リリースを実施するメリットとして、大きく以下の5つを挙げることができます。

1)ターゲットに対して有益な情報を提供できる
調査対象の意識や実際の行動をアンケート形式で明らかにし、問題意識の醸成や課題解決のヒントにつながるような情報を提供することができる。結果として、こうした情報によって対象商材のニーズ喚起につなげられる。

2)潜在層、興味関心段階のターゲットにもリーチしやすい
特定の商品/サービスにフォーカスした情報提供や販促ではないため、商品/サービスそのものにはまだ興味がない、あるいは、抱えている問題・課題を認識すらしていないものの、特定のテーマには興味関心のあるターゲットが反応しやすい。

3)リード(見込客)を獲得できる手段となる
ターゲットにとって有益な情報となり得る調査レポートを公開することで、情報提供と引き換えにリード情報(個人情報)の獲得につなげられる。以降、それらの連絡先情報(メールアドレス等)を使って関連する情報を継続的に提供することができる。

4)情報が拡散される可能性が高まる
特定の商品/サービスに関する販促情報ではなく、ネットリサーチ等による定量的かつ客観的なデータを示せるため、プレスリリースとして公開・配信した際には他の情報と比べてメディアに取り上げてもらいやすい。また、記事化されることで情報が拡散し、潜在層への認知度も高められる。

5)調査結果を二次利用できる
調査で得られた結果は、特定の商品/サービスのニーズや必要性を示唆する参考情報として、営業段階の提案書やセミナーなどでの講演資料に二次利用できる。また、調査の内容によっては、商品/サービスの開発や改善のヒントにもなり得る。

BtoB事業においては、特に上記の2・3・4に価値を見出す場合が多いかもしれません。特定の課題を明確に認識しておらず、具体的に商品/サービスの検討や選定に未だ着手していないターゲットに対して広くリーチでき、ニーズを喚起可能なマーケティング手法の一つとして、その有効性に気付いている企業が実践しており、今後益々浸透していくのではないかと考えています。

 

mark_title2 調査PR/調査リリースの進め方・手順

調査PR/調査リリースを進める際の大きな流れとしましては、以下のようなステップを想定しておきましょう。
1.調査の企画・設計
2.調査の実施
3.調査結果のコンテンツ化
4.プレスリリースの公開・配信
5.効果検証
ここでは、ネットリサーチを前提に、それぞれの概要を手順を追って解説します。

1.調査の企画・設計

1-1.調査目的の設定
どんなターゲットに対して、どのような示唆を与えられる調査内容を提供したいか?より具体的なターゲット像をイメージすることで、与えたい問題意識や課題解決のヒントなど、狙いが定まりやすくなります。この段階でタイトル案や設問例を挙げておけば、関係者間での認識をすり合わせやすく、合意形成も容易になるかと思います。
また、この段階で調査の対象者も明確となり、必要な予算を確保するために目標サンプル数(回答数)を設定することになりますが、この辺りは対象者の出現率や回答率などを考慮する必要もあり、基本的な知識とある程度の経験が求められます。
このサンプル数(回答数)の算出方法や決め方については、また別のコラムで解説できればと思います。

1-2.目標の設定
制作した調査レポートをダウンロードする際に獲得するリード件数など、設定する目標については、併せて実施する認知施策なども考慮した上で設定することになります。

1-3.設問の設計(調査票の作成)
先述した内容を受けて、アンケートの設問を設計していきます。具体的には、1問ずつ設問文、設問形式、選択肢といった項目を表形式(Excelなどで)でまとめるとよいでしょう。
設問形式には以下のようなもの(Fastaskの案内ページを参照)があります。

▼アンケートの設問形式(設問タイプ)
・シングルアンサー(単一選択)
・マルチアンサー(複数選択)
・マトリクスシングル(表形式で単一選択)
・マトリクスマルチ(表形式で複数選択)
・フリーアンサー(自由回答)

設問設計の基本や押さえるべきポイントについては、具体的に説明する必要がありますので、また別のコラムで解説できればと思います。

2.調査の実施
※ここでは、セルフ型ネットリサーチ・サービスを利用する前提で説明します。

2-1.アンケートフォームの作成
設問設計書(調査票)を元にアンケートフォームの作成(設定作業)行います。
設定方法等については、ネットリサーチ・サービスのマニュアル等を参照してもらいたいと思いますが、弊社が通常利用しているネットリサーチ・サービスを紹介しておきます。

▼ Fastask 【株式会社ジャストシステムによる運営】
https://www.fast-ask.com/

▼ Freeasy 【アイブリッジ株式会社による運営】
https://freeasy24.research-plus.net/

2-2.アンケートの配信
BtoB利用の多くの場合、対象者の基本属性で絞り切れないため、本調査の前にスクリーニング(事前に対象者を抽出する調査)を行います。
そして、スクリーニングにより抽出した対象者に対して本調査を実施(配信)します。

※スクリーニングの例:BtoB企業に勤務する広報/マーケティング/販促に携わる従業員(20歳~59歳までの男女)

2-3.調査結果の集計・分析
本調査の実施が完了しましたら、回答データの集計作業を行います。
基本的な集計方法としては、単純集計(設問ごとに集計)とクロス集計(設問同士をかけ合わせて集計)がありますが、一般的なネットリサーチ・サービスには集計用のツールが用意されており、比較的容易に集計表を出力することができます。

3.調査結果のコンテンツ化

調査結果を元に、コラム記事や調査レポートなどのコンテンツ化を行います。
リード獲得を目的とするなら、ダウンロード資料として調査レポートを制作し、申込みフォーム経由でリード情報を取得できるよう準備します。フォーム作成機能を有したツールがあれば、フォーム入力後の画面にダウンロード用URLを表示させるか、入力されたメールアドレスにダウンロードURLを記載したメールを送信(サンクスメールでの自動配信等)して案内するか、いずれかの方法で運用可能ですが、後者が一般的かと思います。

調査レポートの具体的な制作方法については、また別のコラムで解説できればと思いますが、設問設計時に考慮した気付きを与えるための見出しやコメントを盛り込みつつ、視覚的に分かりやすいグラフや全体のデザイン性など、工夫できる余地は少なくありません。

4.プレスリリースの公開・配信

4-1.プレスリリースの作成
調査レポート制作を終えた段階で、調査概要(調査の目的、対象、調査期間、調査方法、回答数など)をはじめ、トピックスや各設問の調査結果などの素材が揃っているはずですので、それらをもとにプレスリリースの文面を用意します。基本的な構成やタイトル・見出しなど、気を付けるべき点は幾つかありますが、検索すれば他社のプレスリリースを容易に確認できるかと思いますので、参考にして作成してもらえればよいかと思います。
プレスリリースの書き方については、また別のコラムで解説できればと思います。

4-2.プレスリリースの配信
プレスリリースを作成したら、各メディアに直接送付することもできますが、工数対効果/費用対効果を考えますと、プレスリリース配信サービスの利用をオススメします。
実費は掛かるものの、多数のWebメディア・新聞・雑誌・テレビ・ラジオなどへ様々な方法で配信することができるため、多くの場合、コスト以上の成果を得られます(感じられます)。

プレスリリース配信サービスは幾つかありますが、クライアントによく利用されているサービスを4つほど紹介しておきますので、参考にしてもらえればと思います。基本的には、リリース原稿作成などのサポート体制や配信の頻度など、利用サイドの状況や要件によって選択することになるかと思います。

 プレスリリース配信サービス 特長(各社の紹介文から抜粋)
PR TIMES ◇サイトPV 約9,000万PV、国内シェアNo.1
◇10,848媒体のメディア、27,000名超の記者・編集者へ、厳選して配信
◇月間PV数1億超のサイトを含むメディアへ転載
◇X、FacebookなどSNSで広まりやすい
valuepress ◇プロによる原稿作成・添削
◇1万件を超すメディアリスト
◇マッチングによる配信で記者の注目度アップ
◇専任スタッフによる記者への個別コンタクト
@Press ◇専任スタッフがつく!業界トップクラスのサポート体制
◇国内No.1の圧倒的な記事掲載数(国内No.1)
共同通信PRワイヤー ◇国内の地方から海外まで広い配信メディア
◇記事化率は業界No.1の70%*超え
◇高い信頼性を得られる共同通信のグループ企業

※各Webサイト(プレスリリース配信サービス)へのリンクが切れている際はご容赦ください。

 

5.効果検証

プレスリリースを配信して一定期間経過した後は、その効果検証を必ず行いましょう。
言わずもがな、本取り組みの効果を検証・分析することで、次の制作物やリリースの品質・精度を上げるための改善につなげられるからです。

BtoBの場合、以下のような成果指標が挙げられます。

・プレスリリースのPV/UU数
・記事掲載(転載掲載数)
・調査レポートのダウンロード数(リード獲得数)
・獲得したリードの転換率(アポや案件化など)

 

mark_title 調査PR/調査リリースの実施例

調査PR/調査リリースを実施する際は、他社の事例も参考にしましょう。
BtoBにおける近年の事例を5つほど紹介しておきます。
※最後に記載した事例は、弊社とITコミュニケーションズ社が共同で実施した調査リリースとなります。

▼生成AIの全社導入は約6割に拡大、RAGは5割以上が取組中
~262社310人へ生成AIの利用実態調査を実施、AIエージェントに関心が集まる~(2024年12月23日)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000308.000030192.html

▼【ファッションECサイトの利用実態】カートに入れてから購入をやめる理由、第3位「クーポンや割引が利用できなかった」第2位「カートに入れてから気が変わった」。第1位は?(2024年10月30日)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000004.000059188.html

▼ソフトブレーン、企業の営業課題に関する調査「esm sales report 2024」を実施(2024年10月29日)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000024.000022585.html

▼【2024年最新】生産管理システムの導入・活用に関する実態調査を公開(2024年4月10日)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000166.000009956.html

▼コロナ禍以降のBtoB商材検討における 購買行動(意思決定)の実態を調査! 2023年版「BtoB商材の購買行動に関する実態調査レポート」(2023年2月14日)
https://www.atpress.ne.jp/news/298175

 

 さいごに

調査結果のプレスリリースを公開・配信し、各種メディアに記事化されることで、自社あるいは製品/サービスの認知拡大やリード獲得につながります。今すぐ客に対して、製品/サービスの直接的な訴求はもちろん重要ですが、ターゲットの裾野を広げるためにも、こうした調査PR/調査リリースは有効な取り組みとなります

特に、自社サイトのPV/UU数がそう大きくはない中小企業やスタートアップにおいては、サイト上でコンテンツを公開するだけでは期待する成果を得られにくいため、関連メディアに取り上げられる(掲載される)ことを狙った調査PR/調査リリースの実施を検討するべきです。BtoCと比べ、BtoBにおいては調査PR/調査リリースを実施する企業は未だ少数派と言えますので、潜在層へのリーチを図りたい、あるいは競合他社との差別化を図りたい場合は、こうした取り組みも検討いただき、弊社などの支援会社にご相談いただければと思います。

 

この記事を書いた人

堀首 裕芳
堀首 裕芳代表取締役/CRMシニアコンサルタント
FA機器を製造・販売する株式会社キーエンスにて、営業の面白さや難しさ、奥深さを知る。
その後、複数のベンダーでSFA(営業支援システム)やMA(マーケティング支援システム)に関わるコンサルティング、営業管理職を務め、2011年にB2Bマーケティング株式会社を設立。これまでに、CRM/SFAに関わるコンサルティング案件は300社を超え、デジタルマーケティングに関わる支援案件は100社を超える。
BtoB企業の顧客獲得や売上アップに貢献すべく、日々奔走中。

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