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11.252024
企業の営業課題や解決に向けた取り組みに関する調査レポートから考察する
最近の各種調査結果やクライアントから見聞きしている限りでは、営業現場においてもリアル回帰が進んでいるようです。具体的には、リアル展示会への積極的な出展や商談の重要な局面での対面営業など。マネジメント上の課題もあるようですが、顧客の要請もあり、このような時代だからこそ逆にオフラインの活動が差別化につながるケースもあるのだと思います。今後は、生産性アップにも意識して、完全なリアル回帰には至らないまでも、オンラインとオフラインのメリット/デメリットを考慮した取り組みが重視されていくことになろうかと思います。
また、営業領域においてもDXが推進されておりますが、生成AIをはじめ、CRM/SFAなどのITツールを活用していこうとする動きも活発で、旧態依然とした営業体制・手法を堅持するという姿勢では、現状の激しい競争環境の中で勝ち残るのは非常に困難な時代だと言えそうです。
そこで本記事では、筆者の古巣であり、弊社のビジネスパートナーでもあるソフトブレーン社が先日(2024年10月)公開した『企業の営業課題や解決に向けた取り組みに関するアンケート調査「esm sales report 2024」』を参考に、国内企業の営業課題やその解決に向けた取り組みについて考察したいと思います。
引用元:esm sales report 2024|ソフトブレーン株式会社
※掲載した情報は引用元の承認を得ています。
なお本調査は、ソフトブレーン社のハウスリスト(企業・組織の従業員)を対象に行われ、681名の回答を得た調査結果となります。 ※回答者の属性(勤務先の従業員規模・業種、職種、役職、立場)はレポートを参照ください
ポイント1> 「新規顧客との接点を増やし、営業活動をITツールを活用して効率化することで、売上や利益率向上につなげる」ことが課題⁉
[設問] 現在、勤務先の営業部門が抱えている課題は?(5つまで選択)
営業部門が抱えている課題として「新規顧客獲得の戦略(38.6%)」が最上位となっています。冒頭で触れましたように、狙うターゲットに対してどのようにリーチし、コミュニケーションを図っていくのか、オンライン/オフライン両面で戦略を練っていく必要性に気付いている企業・担当者が少なくないのではないかと思います。
数ポイントの差で「営業活動の効率化(35.8%)」が続きましたが、これは営業部門において永遠のテーマと言えるものです。効率化をサポートするものとして「ITツールの活用(31.6%)」が関連しますが、単なるIT導入では期待する成果を上げられるものではなく、「営業プロセスの標準化(23.3%)」や「社内関係部門との連携強化(22.9%)」なども含めた営業DX(この場合、従来からのBPRと言った方がより正確かもしれませんが、言葉遊びをするつもりはなく、近年のトレンド・目標を視野に)を推進する必要があります。
また、業種別にクロス集計をしますと、幾つか面白い傾向が出ているようです。
例えば、建設業では「ITツールの活用(47.6%)」がダントツの1位でしたが、一般的にアナログな業務が多く、人材の高齢化やITリテラシーが相対的に低いといった背景も関係がありそうです。また、建設業では「営業人材の採用と育成(40.5%)」や「利益率の向上(40.5%)」といった課題も高い割合を示しているため、『利益率向上に寄与するITツールの導入・活用を推進し、よりスマートな営業スタイルを誇示することで、魅力的な職場環境を人材確保につなげる』などの工夫・改善が一層求められていると言えそうです。
「利益率向上に寄与するITツール」としては、例えば、CRM/SFAによる案件管理の徹底により、早い段階からより利益率の高い案件に注力するようなマネジメントを実践するなど、幾つかの手段・方法が考えられます。
ポイント2> 永遠の経営課題の1つと言える新規顧客開拓を推進・強化するためにもITツールの活用は必須⁉
[設問] 抱えている営業課題を解決するために取り組んでいることは?(すべて選択)
抱えている営業課題を解決するために取り組んでいることとして「営業メンバーのスキル強化(36.6%)」が最上位となっており、確かに重要な問題ではありますが、こうした人的資源に関する課題は一朝一夕で解決するようなものではありませんので、継続的な取り組みが求められると考えています。(具体策については専門家の見解・アドバイスに譲りたいと思います)
以降、「新規顧客開拓(34.8%)」と「ITツール(MA/CRM/SFAなど)の導入(33.2%)」が続きました。
※MA:Marketing Automation(マーケティング支援システム)
※CRM:Customer Relationship Management(顧客管理システム)
※SFA:Sales Force Automation(営業支援システム)
先述の設問で最上位となった「新規顧客獲得の戦略」に関連して、「新規顧客開拓(34.8%)」が2番目に多い取り組みとなってますが、これは営利目的の企業であれば永遠の経営課題の1つと言えます。B2B企業のマーケティング/セールス領域をサポートしている弊社としましては、クライアントの企業規模やビジネスモデル、商材にも依るものの、近年においてはデジタルマーケティング(デジマ)の成否が企業の持続的成長に向けたキーファクターの1つだと考えており、そのデジマの展開にはITツール(MA/CRM/SFAなど)の活用は必須だと考えています。
ちなみに、メディアリーチ社が運営するメディア「MARKETIMES」が公開している『国内企業のデジタルマーケティング実態調査2023年/2024年』によると、多く(約43%)の経営者がデジタルマーケティング(デジマ)の重要性を認識しているようです。
参照元:国内企業のデジタルマーケティング実態調査2023年/2024年|MARKETIMES
また、4位に「既存顧客深耕(31.7%)」が続いてますが、弊社においても、仮に当初の依頼内容が「新規見込客の獲得」であっても、既存顧客の売上傾向や休眠状況などを必ず確認・把握するようにしています。これには、大きく2つの理由を挙げられます。
1つ目として、既存顧客に対する勝ちパターン(あるいは、失注パターン)の把握・分析は、新規見込客の獲得に向けた取り組み・施策に活かすことができるからです。実際、新規顧客にばかり目が行って、「なぜ、既存顧客に選ばれているのか?」を正しく理解していない・理解しようとしていない企業は少なくないものです。具体的には、受注案件の発生経路をはじめ、企業・担当者の属性(売上高・従業員数・業種、部門・役職など)、課題解決の対象など、新規見込客の獲得に向けた取り組み・施策に反映されるべきヒントが得られるため、こうした実態の把握や分析は重要なことです。
2つ目としては、既存顧客の中でも当分の間、取引が途絶えている企業(休眠状態)、あるいは取引が続いていても新たな担当者(追加された名刺情報など)に対する営業機会の創出を期待できるからです。一般論ではありますが、これまでに取引のなかったド新規の企業を集客するところから始めるより、一度でも取引実績のある企業から案件創出を狙う方が歩留まりは高くなる傾向にあります。ですので、こうした観点も考慮した取り組み・施策を展開することで、費用対効果の高い目標達成を実現したいものです。
ポイント3> 「営業プロセスの標準化」と「チームのモチベーション向上」、「ITツールの導入・活用」はそれぞれ個別の問題・課題とは言えない⁉
[設問] 営業課題に関わるテーマで、あなた自身が興味関心を持つキーワードは?(すべて選択)
営業課題に関わるテーマで興味関心のあるキーワードは、「【ITツール】AI導入・活用(37.0%)」がダントツの最上位でした。従業員数によるクロス集計でみますと、概ね規模が大きくなるほど「AI導入・活用」への関心度が高まる傾向にありますが、大企業は中小企業に比べてリソースを確保しやすく、保有するデータも豊富であり、AI導入による規模の経済が働きやすいという背景が考えられます。今後はさらに、AIを活用した営業課題の解決や営業活動の推進が重要視されていくことに疑いの余地はないでしょう。
2位以降には、「営業プロセスの標準化(29.7%)」、「チームのモチベーション向上(28.6%)」、「【ITツール】CRM/SFA導入・活用(24.8%)」が続いています。そのうち、「チームのモチベーション向上」につなげる手段・方法は幾つかあると思いますが、1つには目標達成度や成果の見える化を挙げることができます。営業部門には一般的に、目標や評価指標が設定されているものですが、単に「売上」といった最終目標のみで評価することなく、中間指標を設定し、その達成状況も加味することで個人・チームのモチベーションに好影響を与えようとする考え方・取り組みが重要視されつつあります。従って、こうした中間指標を設定し、効果的にマネジメントするためにも「営業プロセスの標準化」は必須であり、こうした指標の達成度を継続的にモニタリングするためにも「CRM/SFA導入・活用」が求められていると考えております。
【参考コラム】今一度、目標実現に向けた達成・評価指標(KGI/KPI)を考えよう!
上記の設問以外には、「勤務先における各種ITツールの導入・検討状況は?」、「CRM/SFAの導入効果は?」、「CRM/SFA導入後の活用における障壁は?」といった点についても明らかになっておりますので、詳細を知りたい方はこちらからレポートをダウンロードいただければと思います。
さいごに
本記事では、企業の営業課題や解決に向けた取り組みにフォーカスした調査レポートを参考に、コロナ禍を経てリアル回帰が進む中での営業課題やその解決に向けた取り組みについて幾つか考察しました。
多くの企業が「新規顧客開拓」という課題に直面し、解決に向けた取り組みを実践していることがわかりましたが、弊社とITコミュニケーションズ社が共同で実施した調査では、約3分の1の企業が見込客の件数不足を認識しており、今後さらにデジタルマーケティングを中心としたリード獲得戦略の是非が問われていると考えております。
【参照】BtoB企業におけるリード(見込客)獲得に関する実態調査レポート2022
また、デジタルマーケティングを推進するにあたっては、想定ターゲットに対するメッセージ、すなわちコンテンツが欠かせませんが、ターゲットの属性や検討度合いに応じたコンテンツ開発に問題・課題を抱えている企業も少なくないのが実情です。以下に、コンテンツ開発の考え方や進め方を解説したコラムを紹介しておきますが、具体的にお困り事がございましたら弊社まで気軽にご相談いただければと思います。
【参考コラム】コロナ禍を受け、訪問営業よりリモート営業が好ましい?! デジタルマーケティングを推進する際のコンテンツ開発の考え方と進め方