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「BtoBサイトランキング 2016」トップ3の企業に学ぶ(2) ~Web会員サービス編~

Security Sign Log In Up Password Secret Concept前回ブログ記事に引き続き、株式会社トライベック・ブランド戦略研究所が公開している「BtoBサイトランキング 2016」の総合ランキングで上位3社(オムロン、三菱電機、キーエンス)のWebサイトをケーススタディとして、多くのBtoB企業が学ぶべき要素を取り上げて紹介します。

前回はこの3社に共通していえる要素として、様々な業種や用途における製品の利活用をサポートする十分な量の「用途事例」を用意していることをお伝えしましたが、今回は顧客(見込客含む)の会員化とサービス内容について触れたいと思います。

 

mark_title2 お客様の利便性向上とファン化を目的とした、Web会員サービスの充実化

こちらは、オムロンのWeb会員用(I-Webメンバーズ)ログイン画面です。

オムロン_会員登録

オムロンのWeb会員用(I-Webメンバーズ)ログイン

 

予めWeb会員として登録しておくと、例えば以下のようなサービスを受けられます。

  • 製品のマニュアルやCADデータ等のダウンロード
  • 製品に関する問い合わせの24時間受付(スマートログイン)
  • 定期的なメールマガジンの受信

BtoBの製造業においては、この様なWeb会員サービスを提供しているケースも少なくありませんが、今回のランキング上位3社でも以前からこれらサービスの充実化を率先して推進されています。

それでは参考までに、3社それぞれのWeb会員サービスを比較した表をご覧ください。(当社調べ)

▼Web会員サービス内容の比較表

Web会員サービス比較

マイページの機能については、単に登録情報を変更できること以外に、ユーザー自身が商品の詳細ページやFAQページなどを目的別や商品分類別にフォルダ管理できる機能を有していたり、問い合わせ履歴のみならず、eラーニングの受講履歴なども確認できる会員サービスもあり、各社の努力・工夫を垣間見ることができました。

テスト機の無料貸出については、当然ながら内部的なコストを要するサービスなのですが、私の古巣キーエンス社においても、貸出先の一定率が購入に至るため、積極的な貸出と検証作業のサポートを推進していました。ちなみに、キーエンスでは営業シーンにおいても、テスト機の貸出が営業活動における評価指標として採用されており、それだけ無視できない重要な購買プロセスの要素と考えられています。

顧客視点で考えてみますと、既存ユーザーは製品の仕様や利用方法などを一々営業担当者経由で確認せずともWeb上で情報を得られ、利便性が高まると同時に課題解決に寄与します。一方、未取引先を含む見込客は、知識習得や人材育成に役立つ資料や事例集などを自由に取得でき、得られた知識やノウハウを実務に活かせます

そして、結果的にWeb接点のリード(個人)情報を獲得できるため、限りある営業リソースではカバーしきれないお客様との関係性を高められるアプローチが可能です。また、営業的な視点に立つと、会員個々の利用動向や興味対象を把握できますので、One to One マーケティングの実践ファン化の推進に役立てられます。

 

Web会員サービスを紹介するページについては、各社それぞれ工夫されているので、以下を参照ください。
(※画像上のクリックで対象サイトが開きますが、リンク切れの際はご容赦ください)

▼オムロン>会員サービス(I-Webメンバーズ)

オムロン_会員サービス紹介

オムロンの会員サービス(I-Webメンバーズ)紹介ページ

 

▼三菱電機>会員サービス(FAメンバーズ)

三菱電機_会員サービス紹介

三菱電機の会員サービス(FAメンバーズ)紹介ページ

 

 ▼キーエンス>会員サービス(Web会員)

キーエンス_会員サービス紹介

キーエンスの会員サービス(Web会員)紹介ページ

 

mark_title2 会員登録時の入力項目で想定するマーケティング活動

次に各社の会員登録に必要な入力項目を比較してみました。(当社調べ)

▼Web会員登録における入力項目比較表

Web会員入力項目比較

基本的に匿名を許さない個人を特定できる情報とあわせ、「業種」や「職種」など相手の役割や興味関心対象を想定できる最低限の情報が必須入力項目として設定されています。これらの情報を統計情報利用以外に活用するシーンとして想定できるのが、業種や職種ごとにセグメント(条件抽出)、あるいはコンテンツを差し替えたメール・マーケティングです。

また、アクセスログを分析すれば、どんな会員がどのコンテンツを閲覧あるいはダウンロードしているかを把握できるでしょうから、コンテンツ企画や販促施策にも活かすことができます。もちろん、各地の展示会やセミナーなどへの限定オファーにも、これらの会員情報を活かせますので、ハウスリストに対するメールの無駄打ちも避けられます。

やはり、会員化の主たる目的として、できるだけ営業リソースを使わない、メール配信などを活用したデジタルマーケティングの推進がありますので、配信許可(パーミッション)の取得は必須です。

しかしながら、いずれの企業でもメルマガ配信の受信自体は任意としており、登録後の配信許可も自由にオプトアウト(受信者からの配信停止要求に対応すること)できるような仕組みを採用しているようです。

言うまでもありませんが、お客様とのコミュニケーションは信頼関係が伴って成立するもの。お客様個別のニーズに対応できるような仕組み化を図りましょう。

 

mark_title2 さいごに

「BtoBサイトランキング 2016 総合」で評価されたトップ3の企業サイトをケーススタディとして、今回はWeb会員サービスにフォーカスしてBtoB企業が参考にできそうな情報を取り上げてみましたが、如何でしたでしょうか?

Webサイトに会員登録・認証機能を付加すること自体は、運用方法含めそれなりにハードルの高いことではありますが、会員登録・認証機能を有したCRMやCMS、あるいはWebフォーム機能サービスを利用するなど、幾つかの選択肢がありますので、興味のある方はお付き合いのある制作会社に一度相談いただければと思います。(弊社でもご相談に応じますので)

あくまでもお客様のニーズありきで、BtoBであれば営業リソース含めたお客様とのコミュニケーション戦略、顧客関係強化、顧客満足の追求など、様々な観点でWebの役割を定義し、活用していくことを提案いたします。

この記事を書いた人

堀首 裕芳
堀首 裕芳代表取締役/CRMシニアコンサルタント
FA機器を製造・販売する株式会社キーエンスにて、営業の面白さや難しさ、奥深さを知る。
その後、複数のベンダーでSFA(営業支援システム)やCRM(顧客関係強化)領域のコンサルティングや営業管理職を務め、2011年にB2Bマーケティング株式会社を設立。
BtoB企業の顧客獲得や売上アップに貢献すべく、日々奔走中。

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